実質の手取り10万以下も…アパレル業界の自腹貧乏悲話
アベノミクスで景気が上向いたと言われるが、賃上げやボーナスの増加でホクホク顔なのは一部の大企業だけ。その恩恵に与れず過酷な状況にあえいでいる業界は多い。共通するキーワードは「長時間労働」と「定額残業代」だ。介護、飲食、IT、アパレルetc.の悲惨な経営環境、労働実態をリポートする!
◆価格崩壊で売り上げ急下降。従業員はノルマのため自腹を切って営業【アパレル業界】
安く品質の高いファストファッションの定着で苦戦を強いられているのがアパレル業界だ。単価の低い輸入品の浸透によって、繊維産業の製品出荷額は’91年をピークに下降の一途をたどり、現在はピーク時の3分の1ほどまでに落ち込んでいる。加えて不況の煽りを受けて売り上げは激減。まさに悲鳴ばかりがこだましている業界だ。
そんな売り上げ不振によって起こっているのが、アパレル店員の減少である。実際に’85年には100万人を超えていた繊維産業の従業員数も’04年には半数の50万人を切り、’10年には30万人ほどまで縮小しているデータもある。
「ブラック企業」と指摘されるユニクロも従業員の数が問題視されているが、今やどこのアパレルショップも人件費削減を余儀なくされている。
大手アパレルショップで店長として働いている吉田恭司さん(仮名・26歳)はアパレル店員の現実をこう嘆く。
「扱う商品は多いのに、人員はまったく足りていないのが今のアパレルショップの実情。それでも売り上げノルマは提示される。ウチの店は個人ノルマで店長なら去年の同じ日の売り上げに上乗せで2万円。ただ、目標額に届かなければ、社割を使わずに自腹を切ります。月の給料は18万円程度で、最終的に自分の手に残るのは10万円を切る場合だってあるんです」
目標額に届かなければ、上司に呼び出され「売り上げが少ない」と叱責の嵐。おまけに売上額は店舗ごとにグラフにされるため、手を抜けないとのこと。
「売り上げが少なければ、必然的に店を開ける時間が長くなります。もちろん残業代なんて出ません。でも、ノルマを達成できなければまた上司の怒りを買うだけですから、仕方ないですよね」(吉田さん)
売り上げの悪いときは休みは月に1度程度になるという吉田さん。デフレの定着で売上額の少ないアパレル業界。そのしわ寄せはすべてショップ店員に向けられている。
― なぜこの業界は、不景気のままなのか?【5】 ―

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