俺のこと好きなのかも…スタバ女性店員の“フレンドリー接客”にときめく自意識過剰な男たち
チェーン飲食店やコンビニのメリットの一つといえば、「どこで買っても同じものが手に入る」という規格化、画一化が徹底されていることだろう。
だが、それに加えて、もう一つ特徴がある。
それは、客に匿名性が担保されていることだ。
駅前商店街にある八百屋のような人情味あふれる接客とは違い、チェーン飲食店では誰に対しても同じ接客をされることで、心休まるプライベートな時間(を過ごしている気分)を確保することができる(と言われている)。
だが、そのチェーン店特有の“客の匿名性”が唯一あてはまらないチェーン飲食店がある。
それが、スターバックスコーヒーだ。
アメリカはシアトルでコーヒー焙煎の会社からスタートした同社は、1980年代後半からヨーロッパやアジアなど世界各国に出店。日本でも1996年に東京銀座で日本国内第一号店をオープン以来、店舗数を次々拡大している。
現在の同店の特徴は全席禁煙、フラペチーノをはじめとした女性に支持されるオシャレなドリンクメニューと店舗空間。
そして、店員のフレンドリーな接客だ。
常連客には気軽に話しかけたり、時にはその日の気温を考慮してあたたかいメニューをすすめることもある。
さらにこの時期、SNSでは「スタバ店員から受験がんばってくださいと書いてもらった!」といった高校生のツイートを多く見ることができる。
つまり、スタバ店員は従来のチェーン飲食店とは異なる客と店員の関係が生まれているのだ。
だが、そうしたスタバ店員のフレンドリーな“声掛け行為”に、対応できずに戸惑っている数少ない人種がいる。
それが、40代以上の非モテの中年オッサンである。
彼らは、スタバ店員と若い客間特有の「友人でも恋人でもない、匿名的な客と店員でもないフレンドリーな関係」に対応できずにいたのだ。
これは一体どういうことか。スタバ被害者を一方的に名乗る40代のおっさんと元スタッフ双方の意見を聞いてみた。
IT企業で働く佐藤登さん(仮名・40歳・練馬区在住)は典型的な非モテ独身男性。東京の中堅私立大学を卒業後、現在の会社に就職。連日続く残業のせいで女性との出会いはまったくなく、SEXは8年以上遠ざかっている。一週間に届くLINEの件数は平均3件だ。
そんな彼にとって、唯一の生き抜きの場となるのが年に1回参加する夏フェスと毎日のコーヒーだ。佐藤さんは毎日16時ごろ、オフィスが入ったビルの一階にあるスターバックスでパイクプレイスローストのトールサイズを注文する。
そんな生活が続いて早2年。
彼に恋のトラブルが起きたのは、昨年11月のことだった。
「オフィスが今のビルに移転して以来、平日はほぼ毎日使っていました。いつも接客してくれる内田理央似の大学生風のスタッフに急に声をかけられたんです。『あの……お名前お伺いしてもいいですか』と
急に自分の名前を聞かれて驚いたという佐藤氏。だが、スタバではある程度店に通うと客の名前を聞かれることは珍しくない。
しかしながら、精神的に童貞化していた佐藤氏の感情は違った。
「女性店員が急に自分の名前を聞くなんて、普通ありえませんよね。それで俺のこと好きなのかな?ってその日以来妙に意識しちゃったんです。もしかしてコクられるんじゃないかと」
悶々とし続けた佐藤氏だったが、その後二人の関係にはなんの進展もなく、客と店員という関係性が続いた。
事件から一ヶ月後、たまらず佐藤氏は会社の20代の女性部下にこの“恋愛”の相談をしてみた。
「嘲笑されました。スタバってそういうところじゃないですか、と。だったらなんで話しかけるんだよ!勘違いさせるな!と俺は言いたいです。しかし、若者はみな“スタバとはそういうもの”の一言でした」
真相はどうなのか。
今年7月まで港区某所のスターバックス店員をしていた池脇千鶴似の32歳女性に聞いてみた。
「スターバックスでは、入るスタッフにスターバックスが何を大切にしているのかを示した信条(クレド)を示したグリーンエプロンブックという手帳が配られます。そこでマニュアルではなく一人ひとりのお客様と向き合うという理念が書かれているんです。フレンドリーな接客はそうした理念に基づくものですね」
つまり、内田理央似のスタッフはフレンドリーな接客として佐藤さんに接していたのだ。
おっさんはスタバについていけてない
被害1:スタバ店員「お名前教えてください」→「コクられるのでは!?」(勘違い)
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