AV男優に受け継がれる愛と笑いの“徒弟制度”
放送作家の鈴木おさむが、日本のAV界を牽引してきた男優・監督とがっぷり四つの対談取材を敢行。その模様をまとめた異色の対談集「AV男優の流儀」が発売され、たちまち重版がかかるなど、話題を呼んでいる。同書に収録された数あるエピソードの中から、今回はAV界に存在する“徒弟制度”を紹介しよう。
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しみけん:僕にはメンターが何人かいるのですが、AV男優では島袋浩さんもその1人でした。
鈴木おさむ(以下、鈴木):ナンパもので共演されてますものね。
しみけん:そうです。不甲斐ない口説き方をしてしまうと、「お前は波がありすぎる」って夜に呼び出されて怒られたりして。けど、説教の会場が叙々苑とかの高級店で、あんまり怒られてるかんじがしなくって。島袋さん流のアメとムチというか……とにかく、島袋さんには色んな愛情を注いでもらいました。
鈴木:島袋さんが死んだら、泣きますね。
しみけん:泣きますよ。日本中の男子が泣くんじゃないですか。
鈴木:お聞きしていると、島袋さんは師匠であり、兄貴分であり、AV界の親であり。
しみけん:僕の成長期に必ず関わってくれていたのが、島袋さんでしたから。だから、僕もことある事に報告してきたんですね。24歳でベンツのEクラスを新車で買ったんです。「島袋さんのおかげで、ベンツが買えました!」って自宅まで迎えに行ったんです。僕に何かご馳走させてくださいって。で、後部座席に乗ってもらって、当時はまだバックビューモニターとかない時代でしたから、「島袋さん、後ろ見てて下さいね」っていうと、「うん、いいよ。オーライ、オーライ」って。それでガッチャーンですよ。あの人、新聞読みながら「オーライ、オーライ」言ってたんです。
鈴木:まったくうしろを見てくれていなかったんですね。
しみけん:そうなんです。僕はそれまで家賃5万円のぼろぼろのアパートに住んでいたんですけど、島袋さんと仕事するようになって20万円のマンションに引っ越せたんですね。
鈴木:すごい、一気に。
しみけん:一気にギャラが増えましたから。で、ここでも島袋さんをもてなそうと新居にお呼びしたんです。お鍋の準備して待っていたら、島袋さんは拡声器とバズーカ-を持ってきて、いきなり窓を開けたと思ったら、拡声器で「この部屋にはAV男優が住んでますよ!」って叫ぶんです。さらに、火災報知器の前でバズーカーを撃ったり。
鈴木:それも愛ですよ(笑)。生き様を見せてくれたんでしょうね、AV男優とはこういうものだって。
しみけん:うーん、愛ですよね。その時は殺してやろうかと思ったものですが、今、こうやって皆さんに笑いながら話せるってことは、愛だったんですね。
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新書「AV男優の流儀」では、この他にも涙あり、笑いありのエピソードをぎっしり収録。216ページにわたってテンションの高いトークセッションが織りなされている。興味のある方はぜひ、手に取ってもらいたい。 <取材・文/日刊SPA!取材班>
【しみけん】
1979年生まれ。高校卒業後、すぐに男優デビュー。島袋浩氏とのナンパもので頭角を現し、今やイケメン男優として女性誌やテレビ番組に引っ張りだこのトップAV男優に。ボディビル大会での入賞経験や、クイズ王としてテレビ番組で活躍するなど、マルチな才能を発揮する。経験人数は武道館満席目前の7500人。
【鈴木おさむ】
1972年、千葉県生まれ。放送作家。バラエティを中心にたくさんの番組の構成を手掛ける。2014年8月にはAVを題材にした舞台「AVM」を作・演出し、各方面から高い評価を受けた。
『AV男優の流儀』 気鋭の放送作家とAV男優、監督との対談“炎の5番勝負” |
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