“上級国民”の老人はなぜキレる? 被害者たちの声
エリート街道をひた走り、70歳を過ぎても組織のトップに君臨するような、「上級国民」と呼ばれる老人がキレる事例が、ここへきて続発している。彼らは何に対して怒っているのか?「エリート老人」の心の闇に迫る。
女性蔑視発言が世界中で問題視された森喜朗・東京五輪組織委会長(当時・83歳)が、謝罪会見で記者に逆ギレしたことが決定打となり、2月12日、辞任に追い込まれた。
妻へのDV容疑で逮捕された台湾ティー専門店のゴンチャジャパン前会長や、出会い系で知り合った女性に対する強制わいせつの疑いで逮捕されたスポーツ用品大手のアルペン前会長と、最近、組織や企業のトップに立つ有能な高齢者=「エリート老人」がキレて、暴力沙汰で騒動に発展するケースが相次いでいる。
なぜ収入や地位が高く、人生経験も豊富な「エリート老人」はキレるのか。
精神科医の和田秀樹氏は、一般に老人がキレる理由をこう話す。
「高齢者はホルモンの減少などにより活動的ではなくなり、いわば、怒りのアクセルの機能が低下するので穏やかになる。ところが同時に、人間らしい理性を司る前頭葉がほかの脳の領域より老化で萎縮しやすく、怒りを抑えるブレーキが利きにくくなるのです」
駅やスーパーなどでキレる老人がよく報じられるが、’18年の『犯罪白書』によれば、この20年で65歳以上の高齢者の検挙数は実に3.4倍に急増。少子高齢化の影響は大きいが、それ以外の原因も潜んでいそうだ。
特に、「エリート老人」が社長や役員として君臨する企業では、暴走がパワハラという形で表れるという。労働案件を多く手がける橋本佳代子弁護士が言う。
「企業の大小を問わずハラスメント問題は激増している。高齢者が多い中小企業、トップが独善的になりがちな士業の事業所は、パワハラがエスカレートする傾向にあります。厚労省の統計によれば、’19年度の個別労働紛争の相談内容は『いじめ・嫌がらせ』が8万7570件と群を抜いて多く、10年で倍以上に急増。
過去3年間にパワハラを受けたと回答した人が約30%と、3人に1人が被害を受けている。このなかには、エリートで高齢の社長や上司によるパワハラも相当数含まれるはずです」
エリートは一般の老人よりキレやすく、被害も甚大!
「エリート老人」が社長や役員として君臨する企業では、暴走がパワハラとして表れる
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