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自民党政治と決別しないと「無限大に都合の良い増税をされる」理由/倉山満

今どき、民需を犠牲にして軍需に賭けるなど、どこの国がやるか

高市早苗氏

12月10日に自身のSNSで岸田首相が突如示した増税方針に関し反旗を翻した高市早苗氏。辞表を叩きつけるかと思われたが…… 写真/時事通信社

 突然、「防衛増税」が降って湧いた。ただでさえ中露北など周辺諸国の脅威があるのに、ウクライナ事変の勃発。隣国の核兵器を持つ仮想敵が残虐な侵攻を行っている。防衛力増強の必要性は、火を見るより明らかだ。  戦力外通告状態の自衛隊に、防衛費倍増、GDP2%でも足りないくらいだ。ここまでは誰でも理解できよう。問題は財源だ。今どき、民需を犠牲にして軍需に賭けるなど、どこの国がやるか。北朝鮮の「先軍政治」ではあるまいし。中国は、「ズボンを履けなくても核武装するぞ」と有言実行した毛沢東の思想と決別、経済力をつけて軍事力に回している。富国強兵が常識なのだ。

振る袖(財源)はある。国債すら不要だ

 そもそも、財源など、いくらでもある。政府のアドバイザーと称するヤブ医者どもに言われるままに積み上げたコロナ予算は、10兆円単位で使いきれずに余っている。今回の臨時予算の予備費が防衛費と同じ約5兆円。コロナ禍のバラマキを回収しているので税が自然増収して9兆円。これだけで1年分の防衛費を賄える。などなど、枚挙にいとまがない。  ところが、いきなり「無い袖は振れない」式の議論で、「国債による防衛費倍増は無責任だ。足りない分は増税で賄うべきだ」と言い出した。  別に、振る袖(財源)はある。国債すら不要だし、そもそも国債の意味を分かっているのか。国民からの政府の借金だ。借金を返すのは政府であって、国民ではない。そもそも、平時から増税で軍拡して、有事にはどうする気か? ようやく長いデフレから脱却できそうな時に「増税」の二文字が飛んできて、給料を上げたり設備投資をしようとしたりする企業がどこにある? しかも政府与党が法人税増税をぶち上げて。  霞が関の官僚や、その傀儡の「現実主義者」を気取る永田町の政治家たちと話していると、「減税は無責任なポピュリズム」「責任ある現実政治家は増税」との空気にぶち当たる。
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増税して民の活力を強める方法などない
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1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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