バブル期にウハウハだった自動車カメラマンたちの今
―[道路交通ジャーナリスト清水草一]―
カメラマンに必要なものといえばカメラ関係の機材とクルマ。編集者からどんな無茶な注文がくるかわからないので、機材はいつもフルセットで現場入りが基本です。特に大変なのが自動車カメラマンで、箱根などの峠からサーキットまで、とにかく長距離移動が多いためクルマは酷使されまくり。そんな彼らの愛車を見せてもらいました
MJブロンディ=文 Text by Shimizu Souichi
◆自動車カメラマンの愛車探訪
相変わらず日本経済の支柱として頑張っている自動車業界だが、デフレと少子高齢化の影響で、国内販売はひらすら減少中。自然、自動車雑誌の販売部数は落ち込み、広告収入も激減した。
もはや自動車マスコミ界は、消滅の危機に瀕していると言っても過言ではない!
なかでも自動車カメラマンは、バブル期にウハウハだっただけに、転落の度合いが激しい。年間「億」を稼ぎ、スーパーカーを乗り回す大先生もいたというのに、現在は、たとえ20ページ分撮っても日当2万円が専門誌の定番相場に。毎日フルに働いても月収40万円が限度じゃん!? それでどうやってスーパーカーに乗れっちゅーねん!!
では、自動車カメラマンは、この不況とどのように戦っているのか。カメラマンになくてはならない道具である愛車から、その戦いぶりをかいま見てみよう。
かつて自動車カメラマンは、「何はなくとも外車」だった。国産車に乗ってると安く見られるので、とりあえず外車に乗ってなくてはダメだった。今はそんなことは言ってられない。ベンツに乗ってたってギャラは高くならない(できない)し、逆に燃費の悪いクルマで仕事に行くと、経費がかさむと敬遠されることも。そこで、国産車率がジワジワと高まっている。
F1カメラマンとして活躍していた池之平氏の愛車は中古の日産キャラバン。ほんの数年前までランエボでブッ飛ばしてたのが、今じゃまるで水道屋さんだ。F1を全戦転戦し、ビジネスクラスで日欧を往復したのはいつの日だったか……。「鈴鹿からの帰り、ヘロヘロになる自分がフビンです」と涙ながらに語る。
⇒【愛車の画像】はこちら https://nikkan-spa.jp/343689
A出版の社員カメラマンだった古閑氏にいたっては、10年50万kmを走破したトヨタ・プロボックス! 華やかな横文字職業どころか、プラッシー配達のお米屋さんですか? 50万kmと言うと、「クルマの耐久性の極限に挑戦」という色合いも濃い。自動車マスコミ界はインド化していた!
⇒【愛車の画像】はこちら https://nikkan-spa.jp/343689
新車の外車を買う勝ち組もいるが、それとて乗れるところまで乗り尽くされる。もちろんスーパーカー組は皆無だ。
救いは、おしなべてクルマの耐久性が上がっていることだろうか。なにしろ自動車カメラマンは距離を走る。年間数万kmは走る。10年乗れば数十万kmになる。ところが現在は、どんな車種でも30万kmくらい走れるようだ。エンジンを載せ換えればイスカンダルまでも!
【結論】
みなさん、それぞれの生き方で力強く生き残ってらっしゃいます。我々もそれを励みにがんばろうじゃありませんか。プラス、クルマってこんなに長い距離乗れるんだ! ということも、励みにしようじゃないですか
⇒【後編】不況と戦う自動車カメラマンの愛車を拝見 https://nikkan-spa.jp/343689 ― 不況下でも年間数万km超走る自動車カメラマンの愛車を並べてみた!【1】 ―1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中
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