繁華街の奥地に必ず存在するのが、無数のテナントが入った雑居ビルの存在。料金システムが表示されているわけでも気のきいたキャッチコピーが打ち出されているわけでもなく、ただ「まどか」、「中西」などの人名表記の店名が妖しく光るネオン看板の威圧感は、一見客の肝を冷やすことこのうえない。この手の店の多くは、高級クラブに在籍していたホステスが太客を引き連れる形で独立開業というのが大半。夜遊びの新規開拓のため、歌舞伎町の奥地に何度か突撃を敢行したが、ママのファン歴ウン十年なんていう常連客とカウンターを共にし、過去の思い出トークをされる。
「スギナミよ。お前もここでこうして聞いとるとよ? ワシとママがどれほどの仲かわかろうもんじゃろうて、のう?」(『仁義なき戦い』山守義雄風)てな会話に終始。若僧の勇み足を咎められる形で、泣く泣く退散を繰り返してきた。セクシーダイナマイトなダンサー&キャストが勢ぞろい
一見客には厳しい雑居ビル系店舗での夜遊びであるが、ついに名店を発見。歌舞伎町、風林会館よりもさらに奥。人通りもめっきり少なくなった職安通りの手前ビルにある「Allure」というお店。ボックス席が5つほどとお店自体は広くないが、開店直後の時間ということもあり、店の中には女の香水臭が充満。ランジェリー姿のコたちがせわしなく動く様子が見てとれる。「至近距離でポールダンスを見れる、新感覚のパフォーマンスラウンジです。怖い場所にあるけど、明朗会計なので安心してね」(みやびママ)
チャージ料は10分1000円……と聞けばスナック派のスギナミとしてはチョイお高く感じるが、
「2時間以上は打ち止め」という、コイン駐車場のような料金システムを採用している。ポールダンスのショータイムは、明確な時間は決めてなく、お店の状況を見て適切なタイミングで始めるという。
ポールが始まる前に急ピッチでテンションを上げようと、女のコたちとの一気飲みゲームで場を温めていく。負けたのはのぞみちゃん。「チョー悔しぃ~」と言いながら、ソファに立て膝をついてセクシーポーズで酒を呷る。飲みながら「大丈夫? オ○○コ見えてない」、「平気平気、見えてもメモリ消去するから」とバカな下ネタの応酬が繰り広げられる。
街行く人たちの好奇な視線を背中に感じつつ、明るく、バカで、セクシーな夜の名店の誕生に、喜びを噛みしめるのであった。
【Allure】新宿区歌舞伎町2-20-11 玉野ビル2F D号室
電:03-3202-7155
営:20~25時
休:日・祝
料:10分1000円 120分以上フリータイム 原則ボトルキープ制(5000円~)
撮影/石川真魚
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スギナミ 東京都生まれ。主な出没地域は中野、高田馬場の激安スナック。特技は「すぐに折れる心」
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