GWが明けてしばらくたつというのに身が入らない。そんな五月病の最中に、当連載の新メンバーとして加入したブルボンです。由来はおばあちゃん並みにブルボンの袋菓子を買い貯めているから。
秋葉原でコンカフェブームが過熱する裏で、しっぽり飲みたいサブカル好きが集まり、盛り上がりを見せているのが湯島エリアだ。そのなかで、ブルボンが気になったのは、“昭和時代に夢見ていた未来の世界”をコンセプトにしているというお店。憂鬱な気分を晴らすために現地へ向かった。
湯島の雑居ビルの地下にあるのが、バー「昭和99年」。カウンター8席のこぢんまりした店内には、レコードやフィギュアなど、昭和レトロを感じる小道具が並ぶ。そしてカウンターの中には、SFマンガのような近未来を感じさせる制服に身を包んだ美人がいた。コンパニオンの什ちゃんだ。
什「生まれは平成だけど、両親の影響で昭和の漫画やアニメに触れる機会が多くてハマったんです」共通の話題があれば、年齢に関係なく盛り上がれるのは嬉しい限り。こちらでは、お客がボトルを1本持ち込むと入場料がタダになる。しかも、他の人が持ち込んだボトルでも1杯600円で飲めるとか。
什「あとは、お会計が1万円以上にならない“1万円打ち止めシステム”。オーナー曰く、『これが未来のお会計システム』だとか(笑)」それが未来かは置いといて、お会計を把握できるのはありがたい。さらに同店の調理担当・アンザイさんが作る絶品おつまみも人気だ。
アンザイ「おかずにご飯とお味噌汁をつけて定食にもできるので、夕飯だけ食べに来る方も多いです」
この日はベーコンエッグと皿ピザをつまみ、昭和レトロの空間でウイスキーをじっくり嗜む。昭和99年へタイプスリップすること数時間、心とお腹が満たされたブルボンは次の店へと向かった。【昭和99年】
住:東京都台東区上野2-5-3 SNビルB1
営:18~23時
休:火・土曜
電:050-3698-7008
料:入場料1000円。チャージ料1200円/30分(600円分の飲食代を含む)
混雑状況の確認などはツイッター(@s99nen)まで
嗜好品に癒やされたい酒好きが集う天国
〆の甘味を求めて来たのは同じく湯島にあるバー「嗜好品天国」。ここもレトロ感が漂う懐かしい雰囲気。迎えてくれたのは人懐っこい笑顔がかわいらしい店長のひるねちゃん(27歳)。名物のひとつ、クリームソーダ(900円)に舌鼓を打ちつつ、この店を始めた経緯を聞いた。
ひるね「もともと精神的に弱い体質だったうえ、大学卒業後に入った会社がブラック企業で。医者からはうつ病と発達障害の診断を下され退職。そこから2年間、うつと闘いながらニート生活。酒を飲んで紛らわしてたんですけど、何かしないとヤバいという焦りでYouTubeや月イチでバーイベントを主催してみたんです。昔から人を楽しませるのは好きだったから意外にスムーズにできて。YouTubeも収益化できたし、イベントも大盛況でした」
うつ持ちもADHDも関係なく仲良くなれる
昨年5月にイベントで知り合った友人の出資でこの店を出した。
ひるね「最初はコロナの影響でノンアルのみ。そのときの看板メニューがクリームソーダです。今は大好きなウイスキーがメイン。YouTubeやSNSを見て来る人が多いですね。自分の状況を積極的に発信してるので、同じような境遇の人が来る。もちろん、そうじゃない人も。一番嬉しいのはそういった境遇も立場もまったく違うお客さん同士が仲良くなってくれる瞬間ですね」
話を聞く間も初対面の客同士が歓談していた。バーボンウイスキーのようにまろやかな雰囲気のなか、クリームソーダのように客の心が溶け合う……なんて素敵な店なんだ。秋葉原のサブカル感と上野のDEEP感を絶妙な塩梅でMIXしたような雰囲気の湯島。穴場のうちに通い詰めたい。【嗜好品天国】
住:東京都文京区湯島3-43-8 1階
営:18~24時
休:不定休(SNSにて告知)
料:チャージ料1000円(おつまみを含む)、ドリンク600円~
混雑状況などはツイッター(@shikohintengoku)で確認可能
撮影/金子シェリー
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