ステージ上で光り輝くアイドルたち。ひたむきな姿が多くの観客を感動させる。だが、現役として活動できる期間には限りがある。人生は長い。彼女たちは引退後、どのような道を歩むのか。今回は、歌舞伎町で自分の店をオープンさせた2人の元アイドルを紹介しよう。
自分やお客さんに“居場所がある”のは素敵
現在、ダーツバー「SEKAIDE1BAR」で店長を務めているのは越智りんかさん。アイドルグループ「イケてるハーツ」の1期生である。活動期間は「1953日でした」と即答するほど走り抜けたが、次第に将来の夢が芽生えていったと話す。「母親が地元で小料理屋を営んでいて。自分にとってもお客さんにとっても“居場所がある”のは素敵だなって」
アイドル活動中に食品衛生責任者の資格を取得し、引退後すぐに店を開いたが、その直後にコロナ禍が訪れた。「当然、営業できなくて悔しい日もありました。でも、ファンのみんなが送り出してくれたし、イケてるハーツの現役メンバーたちが頑張っているので。私も成長した姿を見せたいと思ったんです」
店名の由来はアイドル時代のキャッチコピー「世界で一番」、壁の色は担当カラーだったビタミンイエロー。眺めるたびに勇気が湧いてくる。「最初に大変な時期を経験したから、ここからは楽しみしかない。店ではダーツを通して、アイドル時代のファンもそうではないお客さんも仲良くなっている。みんなに“新宿に来たらセカイに行こう”と思ってもらえるように仲間たちと盛り上げていきたい」
【SEKAIDE1BAR】
住:東京都新宿区歌舞伎町1-10-12 豊ビルB1
営:20時~翌5時
休:月
電:03-6233-9933
料:チャージ550円、ドリンク880円~、ダーツ1ゲーム100円、カラオケ歌い放題
※詳細はTwitter(@sekai_21)をチェック!
アイドル引退でつながるバトンも
2人目は、アイドルグループ「NiANiHiL」のメンバーだった大下奈央さん。現役の大学生でもあるが、“恋愛シミュレーションゲーム”をテーマにしたコンセプトカフェ「駆け抜けて青春」のオーナーになったのだ。
「大学を留年してしまって。出遅れているなかで爪痕を残そうと思って昨年、800万円の借金をして店を開きました。そしたら学校に行かなくなって再び留年。今、3度目の2年生です(笑)」それでも本人は「なんとかなる」と前向き。キャストには今後アイドルとして活動していくコが多いという。
「私はあんまりうまくいかなかったけど、だからこそ“これはしないほうがいい”というアドバイスはできる。反面教師ですけどね」
えーりんさんは店で働き始めたことが人生の転機に。「自分のことが好きになれたのでアイドルになろうと決意しました。年齢的にも限界がある職業だと思うので、今やりたいことをやろうって」
終わりがあれば、始まりがある。歌舞伎町のネオンが彼女たちの新しいステージを煌々と照らし続けていた。 【駆け抜けて青春】住:東京都新宿区歌舞伎町2-28-2 東松ビル4F
営:18~23時
電:03-6205-5780
料:1時間3000円、3時間7000円(飲み放題)、テキーラ100円、クライナー300円
※詳細はTwitter(@kakenukete_offi)をチェック!
撮影/長谷英史
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マエザワ エロ本出版社出身、元ギャル男雑誌編集者。無類の外国人好き。趣味は「夜の国際交流」
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