第六十四夜【前編】

気分は”月下の棋士”!?

プロ棋士との対局を楽しめる新感覚の将棋バー


【担当記者:スギナミ(32歳)】

yoru64_1.jpg
 吹けば飛ぶよな将棋の駒に かけた命を笑わば笑え♪ BGMは村田英雄の『王将』。妙齢のママが常連客を相手にカウンターを挟んで将棋を指していた。4年前、フラリと入った新宿ゴールデン街の飲み屋での一幕だ。何ともなしに見ていると、「あれ、お兄さん、将棋わかるの? じゃあ一局教えてもらおうかしら」と誘われる。小学校以来の実戦。結果は惨敗だったが、初めて入ったお店で将棋を肴に酒を酌み交わし、ママとバカ話に興じる。安焼酎のせいではなく、なんだかその空間に自分がいることに心地よい酔いを覚えたものだ。

 その日を境に、スギナミの趣味に”将棋”が加わったが、ファンにとって気軽に楽しめるお店が少ないことに少なからずいらだちがあった。意を決して入った町の将棋道場では、強面のオヤジがワンカップ片手にタバコを燻らせながら威勢良く駒を打ちつけ、こちらの心を折りにくる。「こんな鉄火場じゃなくて、もっとライトに楽しめるお店はないのか……」。そう思い悩む僕の耳に入ってきたのは、昨年12月、東京・池袋にオープンした将棋バーの存在だった。

yoru64_8.jpg
娯楽で楽しむ将棋に強いも弱いもない

 池袋北口の繁華街の中心に「SHOGI BAR」はあった。文字通り、お酒を飲みながら将棋を楽しめるお店だ。

「好きなお酒を嗜みながら、真剣勝負ではない、娯楽としての将棋をファンの方々と一緒に楽しみたい。そう思ってオープンしたのがこのお店です」

 そう語るのはオーナーでプロ棋士の橋本崇載七段。NHKのテレビ放送で、従来の棋士のイメージとはかけ離れた、金髪、パンチパーマの髪型で羽生善治名人と対局し、話題を呼んだ若手実力派だ。

 店内の各テーブル席の中央には、プロ棋士、女流棋士が座り、お客さんと対局をしている。そう、お店の特色のひとつに、橋本七段を含めて毎日日替わりでプロ棋士が来店。申し出れば無料で指導将棋を楽しめるというもの。早速、スギナミもお願いしてみることに。




yoru64_3.jpg
指導将棋は下手(客側)の棋力に応じて上手(プロ側)が駒を落とす(飛車、角を抜
いた二枚落ちなど)。有段者はもちろん、覚え始めたばかりの方も、同じように楽し
むことが可能なのだ。もちろん将棋は二の次で、会話メインで遊ぶなんてのもOK




撮影/石川真魚 協力/吉野コージ

スギナミ 東京都生まれ。主な出没地域は中野、高田馬場の激安スナック。特技は「すぐに折れる心」
スギナミの他の記事