第八十夜【後編】



【担当記者:スギナミ】

 ミラーボール、ダンスフロア、そして100人を超えるホステス。ガヤ声と昭和歌謡で喧しい店内は、東映ヤクザ映画そのままの世界観で、いつどこで組長刺殺事件が起こってもおかしくない。そんな緊張感のせいか、酒の回りも早い。デヴィ夫人風の年輩ホステス、若いコンパニオンらと愉快に飲んでいると、あっという間に閉店時間がやってくる。デヴィ夫人、今夜は指名が付かず飲み足りないのか、「上のお店に行かへん?」とのお誘い。同伴したホステス3人と2Fのスナックで1500円の焼酎ボトルを入れて深夜1時まで飲めや歌えのドンチャン騒ぎだ。

 店を出て、改めて2Fを見渡すと、回廊状のフロアには個性派飲み屋の小宇宙が……。ビルには”2F スナック街”と書かれているが、それも今は昔。不況で店を畳むスナックが増え、7年ほど前から若い店主に空き店舗のテナント料を下げて貸し出しているのだ。

 フェティッシュ、サブカル趣味を前面に押し出したバーが目立つ。東京でいうゴールデン街に近い形態だが、狭い通路を彩る個性的な看板を見ていると、”手作り感満載の高校の文化祭”なんて表現のほうがしっくりとくる。

 店ごとに雰囲気も酒の味も違う……とあれば、やはりここは、はしご酒で攻めてみたい。店主からオススメの店を紹介してもらい、ときには意気投合した客と一緒に次の店へとなだれ込む。”飲みの物語”は芋づる式に作られるのだ。

 気づけば朝8時。外光から遮断された暗いビル内は、一度足を踏み入れたが最後、ズブズブになるまで飲み続けてしまう、”時の失われた空間”なのであった。



夜のデパート 大阪・千日前
味園ビルの歩き方(後編)



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2F スナックでアフター
キャバレーのアフターはそのまま2Fのスナックで。
ピッチピチの女子大生コンパニオン・マドンナちゃんと
大阪の定番カップル曲を満喫した



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2F 飲み屋街で朝まではしご酒
回廊状のフロアには50軒近いお店が密集している。
この日はそれぞれ1、2杯で6軒のお店を回ったが、
平均単価800円。席料が安いため、リーズナブルに飲める



【グッドメルヘン酒場「マジョラム」】

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突然の撮影に快く応じてくれたのは、店主の片野礼子さん。
可愛らしさはお店の雰囲気にもマッチしてます。
住:大阪市中央区千日前2-3-9味園ビル2F 
営:21時~midnight
休:火曜日


撮影/西田 航

スギナミ 東京都生まれ。主な出没地域は中野、高田馬場の激安スナック。特技は「すぐに折れる心」
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