カラオケが苦手である。いや、正確には若者と一緒にカラオケに行くのが苦手である。
浴びるほど飲んだ夜、20代の後輩を従え、意気揚々とキャバクラへ。先輩風を吹かせていると、女のコから「カラオケ歌って~」とのお誘いが。
露払いにと後輩にマイクを握らせると、振りつきで歌うは三代目JSоulBrothersなるマッチョな男たちの曲。女のコから黄色い声援を浴びている後輩に対抗心を燃やした俺。意気揚々と少年隊の「仮面舞踏会」を熱唱。
ニッキ、カッチャン、ヒガシを一人三役、振りつきで歌う“離れ技”を演じたのだが、30年前の曲だからか、反応は芳しくない。「いっそX・T・C(エクスタシー)」どころか「まいったネ今夜」、場を凍らせてしまった。
ウケたい、モテたいウザがられたくない
たしかに同世代と行くカラオケは気兼ねない、アイドルだろうがアニソンだろうがあの時がよみがえる。しかし若いコと行ってもウケたい、モテたい、そしてウザがられたくない。そんな中年の邪な心を満たす歌はないものか?
「女のコがお客のカラオケに合わせて踊り、盛り上げてくれるガールズバーがあるんですが、そこで女のコ受けする歌をリサーチしてみてはいかがでしょう?」
福音をもたらせてくれたのはお馴染みO氏。案内してくれた店は歌舞伎町のちょっと怖めの雑居ビル、スナックが並ぶ一角にあった。
「いらっしゃいませ~!」。元気良く出迎えてくれたのは、ピチピチのTシャツにホットパンツ、ナマ脚が眩い今どきの女のコ。
乾杯するや、カウンターの3人組はデンモクとマイクを俺の前に置いてくれる。実は、この日のために密かにリサーチ、動画サイトでみっちり予習した曲があった。20代に絶大な人気を誇り、紅白にも出場したグループのあの曲。「ヂュラゴナイ、ヂュラゴナイ!」と口角泡を飛ばし熱唱するも、喰い気味の歌詞についていけず、曲半ばで停止ボタンを長押し。まさに“SEKAI NO OWARI”だ。
またもや赤っ恥をかいた俺、移ろいやすいリズム感と音程でも盛り上げてくれた女のコたちに、「女子受けするカラオケ」をご教授いただくことになった。
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苫米地 某実話誌で裏風俗潜入記者として足掛け5年。新天地でヌキを封印。好きなタイプは人妻
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