純白のアオザイが目に眩しい。素朴なベトナム娘が集うガールズバー

 20年前、某エロ本出版社にいた頃、上司に飲みに誘われると、必ず最後に行き着くのがフィリピンパブであった。そこで普段は比較的無口で冴えない白髪のおじさん然とした上司が、カラオケのマイクを握るやZeebraのヒップホップナンバーをたどたどしい滑舌で歌い、フィリピン嬢にチヤホヤされ鼻の下を伸ばしていた。

 若輩者だった当時の俺はそこにまったく馴染めず。「フツーのキャバクラに行きたいよなぁ」と嘆きつつ、鏡月を舐めては、二日酔いになったのを思い出す。

真っ白なアオザイとキュートな笑顔に「きゅん」

 中野で別件の取材が終わり、一杯引っかけたあと、中野ブロードウェイ近くの「白線通り」を夜遊びガイドのO氏と流した。夕方というのにフィリピンパブやガールズバーのネオンに火がともっている。コロナの自粛もあって、どの店も早い時間から営業しているよう。そんな俺の昔のエピソードを話していると、O氏が突如指さす。

俺の夜「フィリピンパブの下にベトナムガールズバーがありますね。上野あたりの下町にはポツポツありますけど、東京の西側では珍しい」。

「ノンラー」という笠帽子に顔を半分隠したアオザイ姿の女のコのインパクトのある看板。O氏がスナック然とした小さな店の扉を少し開けて恐る恐る覗く。すると奥から「いらっしゃいませ~!」と元気のいい声が飛んできた。

俺の夜

左からアメちゃん、ハナちゃん、インちゃん。10席ほどの小さな店だが女のコは常に5~6人が出勤。20代が中心の美人揃い

驚くほど流暢な日本語でコミュニケーションに問題なし

 純白のアオザイ、薄化粧。素朴な感じの女のコたち。アクリル板を挟んだカウンターに案内されると。「何飲みますか~」とかわいく聞かれる。2軒目なので、口直しに赤ワインを所望すると「みんなで一緒に飲みましょ~」と言われボトルを入れることに。

俺の夜

60分のセット代金はなんと2000円。ボトルキープも5000円~と格安。この日は女のコのリクエストでワイン(1万円)を奮発

 日本語も驚くほど流暢でコミュニケーションに問題はない。一番日本語が上手なハナちゃん(25歳)に聞けば、来日して6年。近所だからということでこの店で働き始めたという。

俺の夜「日本語で日本人とたくさん会話をしたかったから、毎日勉強になってとっても楽しい」

 と健気なことを言う。そんなハナちゃんが「いちばん日本語がうまい。若いから頭がいいね~」と紹介したインちゃん(21歳)は来日して2年。日本が大好きでコロナ前は北海道や沖縄など日本各地を旅していたそう。そんな彼女に日本人男性は好きかと問うと、

俺の夜

2階のフィリピンパブとは姉妹店。ママさんのツテで、タイやフィリピンの女性との結婚を考える人のための「合コン」も開かれる

「お酒の場でも紳士的だから日本男性は好き。ベトナムの男は働かないし、ケンカが好き」

 と驚愕のエピソードが披露された。隣のアメちゃん(22歳)も、

「ベトナム人男性は酔うと、絶対男同士で殴り合いになる(笑)」と爆笑しつつ首肯する。

 男性優位社会といわれるベトナムでの女性の苦労が忍ばれる。

「はじめてのチュウ」にほっこり、癒やされる

俺の夜 そんな女のコたちが日本語を最も早く覚える手段のひとつがカラオケ。字幕があり漢字にもふりがながふってあるからいい教材だという。そうした彼女たちの十八番が「はじめてのチュウ」。モノマネしつつ唄う女のコに見惚れていると、ほっこりするのはなぜか。

 日本人のキャバやガールズバーにはいない素朴で、素直で屈託がない女のコ。おじさんにも興味津々、いろいろと質問して、答えるたびに驚いてくれるのは何気に嬉しい……。

 かつての上司と同じ年頃になってわかったこの心境。中年は構ってほしいのだと。

俺の夜【パラダイス】
住:東京都中野区中野5-55-16
電:03-5942-9293
営:19~翌3時(現在は16~21時)
料:2000円~(60分/ウイスキー飲み放題)、持ち込み1000円、カラオケ歌い放題1000円、ボトルキープ5000円~

協力/O氏(夜遊びガイド) 撮影/渡辺秀之

苫米地 某実話誌で裏風俗潜入記者として足掛け5年。新天地でヌキを封印。好きなタイプは人妻
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