2度目である。我々夜の生活者にとって今回の「緊急事態宣言」は死活問題。果たして街はどうなってしまうのか。狭いアパートでじっと手のひらを見ていると、夜遊びガイドのO氏からのLINE。「アキバが今すごいんです、とにかく来てください」と興奮のご様子だ。
東京中の女のコがアキバに集結!?
日が傾き始めた1月の夕刻、秋葉原でO氏と合流。一緒に街を流すと、これが宣言下か?と思うほど人が溢れ、メイドやコスプレをした女のコが愛想を振りまいていた。「メイド通り」と呼ばれる通りには、去年までなかったアキバ初の「無料案内所」までできている。氏曰く「コンカフェ、メイド喫茶専門の案内所」なのだとか。新宿、池袋などの繁華街の景気の悪化と反比例するように、この街はコンカフェの出店ラッシュに沸いており、活況なのだという。
「去年180軒だったのが、今年1月で270軒に増えています。東京中の女のコが集まってきてるんじゃないかと思うほどですよ」
そう言うO氏だが、今日は気になる新店があり、偵察したいそう。
現実と妄想世界の間でシチュエーションプレイ
中央通りの一本裏、ひっそりとした雑居ビルにコスチューム姿の女のコがどんどん吸い込まれていく。追いかけるようにエレベーターに乗り、停止階で降りるとカウンターだけの小さな店があった。
カウンターのなかにはメイド服姿の女のコ、はて? 普通のメイド喫茶ではないか。席に着くと、メイドのひとり、いのりちゃんが店のコンセプトを説明してくれる。「今日迷い込んだのは、現実世界と妄想世界の間にあるカフェです。自分の殻を破らないと絶対に楽しむことができませんよ!」
目の前に出された一枚の紙。聞けば、女のコに好きな衣装を着せることができ、女のコはその衣装に応じて“シチュエーションプレイ”をしてくれるという。ナースなら「患者とナース」、OLを選べば「部下と女上司」といった具合に、計12種類のコスチュームとそれぞれの設定がある。
ナースとOLは鉄板。変わり種として「特攻服」がある。「河川敷でぼっち男子がヤンキー女に声をかけられる」という設定だ。一体なにをされるというのか? O氏はOL、俺は特攻服を選択。メイドたちは微笑んで、カーテンの奥に消えた。待つこと3分。
タイトなOL服に身を包んだいのりちゃんがO氏に尋ねる。
「すいません、パソコンが苦手で企画書がうまく書けません……」
弱々しく言い訳をするO氏を叱咤するいのりちゃん。と思いきや「頑張れるかな」と頭をナデナデ。デレるおっさん。これは萌える。「こんなとこで何してんだ!」
続いては“天下無敵”と大きく刺繡が入った特攻服のいつきちゃんが俺の顔を覗き込んでくる。
「転校してきたばかりで話し相手がいないんです……」
「ちょっと顔貸しな!」。襟を摑まれ、顔を引き寄せられ、殴られると思いきや、耳打ちしてくる。(いっしょにいいコトしよっ♡)ドスの利いた声から一転、猫なで声。シャンプーの匂いが鼻腔をくすぐり、ツンデレがおじさんの琴線に触れる。浮世を忘れ、妄想の世界に浸かるのも悪くない……。
【Funfare】
住:東京都千代田区外神田4-6-2 いすゞビル5F
電:03-5296-9191
営:営(平日)17時~、(土日祝)15時~LAST
休:なし
料:3000円(ご新規様60分・飲み放題)着せ替え3000円、チェキ1000円、フード持ち込み1000円。Twitter(@akibafunfare)
協力/O氏(夜遊びガイド) 撮影/渡辺秀之
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苫米地 某実話誌で裏風俗潜入記者として足掛け5年。新天地でヌキを封印。好きなタイプは人妻
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