人口が減っているはずの多摩地域でマンション価格が上昇している理由
1920年の調査開始以来、初の人口減少に転じた2016年(総務省統計局調べ)。特に首都圏では、戦後の高度経済成長期を支えた多摩地域をはじめとした郊外の衰退が叫ばれて久しい。
日刊SPA!では、田園調布や聖蹟桜ヶ丘など、かつてはセレブタウンとして羨望のまなざしで見つめられていたエリアの衰退をレポートしたばかりだ。
だがその実態を具体的に観察すると、多摩地域の人口減少が均一に起きているわけではないことがわかる。たとえば、ここ3年、八王子市は人口が微増の年と微減の年を繰り返しているのに対し、立川市は一貫して人口が増え続けている。
このように、各自治体によって人口の動態が異なるのはもちろん、同じ市内でもエリアによっては局地的に人が増えているケースもあり、一概に多摩地域を”衰退地域”と結論付けることは難しいと言えるだろう。
さらにこの傾向は不動産価格の変遷にも表れている。たとえばここ5年、駅近の不動産価格は、市全体の不動産価格より上昇率が高くなっているケースが多い。以下のデータを見てほしい。
【多摩地域の直近5年間の不動産価格上昇率(2010年→2015年)】
※上が市全体、下が駅近エリア
・立川市
市全体 102.7%
JR立川駅 149.6%
・三鷹市
市全体 110.2%
JR三鷹駅 115.4%
・調布市
市全体 102.7%
京王線調布駅 108.5%
・国分寺市
市全体 101.7%
JR国分寺駅 107.4%
・八王子市
市全体 103.3%
京王線京王八王子駅 100.0%
(※マンションマーケットのデータにより算出。駅近エリアは各駅徒歩5分(400m)内に立地するマンションが対象)
八王子市を除き、駅近のマンション価格が市全体の上昇率よりも高いことがわかる。特に、立川市は市全体と駅近エリアで46%もの差が開いている。
多摩エリアは駅前だけが栄え続けている
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