長編ドラマのテーマは“男のジェラシー”――フミ斎藤のプロレス講座別冊 WWEヒストリー第83回
1980年代のWWEのTVショーには現在のようなバックステージにカメラを潜入させてのドラマシーンはまだなかった。スーパースターたちの生の声を視聴者に伝える場面は“TVインタビュー”と呼ばれるミニ・コーナーで、名物アナウンサーのジーン・オークランドによる質疑応答が連続ドラマのウトーリーラインの役目を果たしていた。
オークランド・アナの質問に答えるのはいつもサベージで、エリザベスはつねに無言のままサベージのよこに立ち、うつむき加減で静かな笑みをたたえていた。そんなエリザベスのしぐさ、どことなくはかなげな様子がファンのイマジネーションをくすぐった。
起承転結の“転”はサンクスギビングデーのスーパーイベント、“サバイバー・シリーズ”(1988年11月24日=オハイオ州リッチフィールド、リッチフィールド・コロシアム)にレイアウトされていた。
メインイベントは、ホーガン&サベージ&ココ・B・ウェア&ヒルビリー・ジム&ハーキュリース・ヘルナンデス対デビアス&ビッグ・ボスマン&キング・ハク&アキーム(ワンマン・ギャング)&レッド・ルースター(テリー・テイラー)の5対5イリミネーション・マッチだった。
ヒール・サイドのコーナーにはボビー・ヒーナン、スリック、バージルの悪党マネジャー3人が陣どり、ベビーフェース・サイドのコーナーにはエリザベスが立っていた。試合中、エリザベスが悪党マネジャー軍団に“拉致”され、ホーガンが試合そっちのけでバックステージの奥のほうまでエリザベスの救出に向かった。リング内では孤軍奮闘のサベージがボスマン、アキームらの集中攻撃を受け半失神状態になっていた。
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