長編ドラマのテーマは“男のジェラシー”――フミ斎藤のプロレス講座別冊 WWEヒストリー第83回
エリザベスを救出し、リングに戻ったホーガンはサベージの背中をポンとたたき、これでタッチが成立してリングイン。スリー・パンチ、ビッグブーツ、レッグドロップの必勝フルコースでリング内に残っていたハクをフォール。ホーガン、サベージの2選手が生き残りに成功し、イリミネーション・マッチがジ・エンドとなった。
試合終了後、ホーガンがエリザベスを肩の上にのせて観客の声援に応えているところで失神していたサベージがようやく起き上がってきた。ホーガンがエリザベスになにやら話しかけた瞬間、サベージが後ろからホーガンの肩をつかみ、ものすごい形相で人さし指をホーガンの鼻っ面に突きつけた。エリザベスは、下を向いて一歩下がった。
このきわめてシンプルな動作だけでアリーナにいた1万3000人の大観衆はすべてを理解した。サベージは、マイクアピールではなくパントマイムのような全身の動きで喜怒哀楽をきっちりと観客に伝えることのできる独特の表現力を持ったレスラーだった。
ホーガンは両手を大きく広げ、困惑したような表情でアリーナをながめ、観客の審判を仰いだ。長編ドラマはここでto be continuedとなった。(つづく)
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文/斎藤文彦 イラスト/おはつ
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