お金

安物や定額サービスは結局損をする――腕時計投資家・斉藤由貴生×メディアアーティスト・落合陽一が語る「現代の消費について」

何も考えずにレンタルだけで済ますと貧乏になる?

安物やシェア、定額サービスは結局損をする【斉藤由貴生×落合陽一】

なんでもリースに頼ってしまうと、可処分所得が減ると懸念する落合氏

――そうなると、あらゆるモノがレンタルで賄われると思われる人も多いと思います。 落合:さまざまなモノをレンタルでまかなうと、その人の可処分所得が減るという問題があります。自由に使えるお金が減るんです。そうなると、ますます貧富の差が増えるということを僕は懸念しています。 斉藤:というのは? 落合:例えば、エンタメ代。CDなどを買わずに月額980円で音楽聞き放題サービスに入ると、残らないものにお金がどんどん流れていく。例えば、ビートルズのLP盤を持っていたら1年間の所有でも100円しか値減りしないでしょう。それが月額聞き放題サービスだと、1年間で1万1760円が消えてしまうわけです。 斉藤:でも、実際聞いている曲数って100曲くらいだよね。12ヶ月で100曲なら実際CDアルバム3枚くらい。CD3枚なら月額サービスのほうがどう見ても高い。比較すると、落合さんが言うとおり所有しないサービス=リースやシェアに可処分所得を取られていることになってしまう。 落合:生きるのに最低限のエンタメ代というのは人によって違うはず。自分がそのコストを毎月いくら払っているかちゃんと計算してみるのは重要だと思う。そうじゃないと、本当にお金に自由が利かなくなってしまう。 斉藤:趣味も投資ですからね。レコードはジャケットから取り出して、かけるまでの動作が儀式的だね。儀式を求める人はそこにお金をかけ、ただ聞ければいいという人は定額制のサービスで充分というわけか。 落合:何に儀式を求めて何に儀式を求めていないかを自分でわかっていたほうがいいね。 斉藤:考えたうえであえて流行に飛びついたり、流されたりしているならいい。例えば自分はとにかくたくさんの曲目を聞きたいから聞き放題サービスにする、と。大事なのは、考えてお金を出しているかどうか。そうでないと、限られた財がどんどん消耗されていくだけだから。そういう意味ではやっぱりモノを持つのも重要だって思うなぁ。 落合:クラウド貧乏にならないためには価値が減る財か減らない財かを見定めながら、お買い物したらいいと思いますね。 斉藤:便利な時代だけど、気が付いたら搾取されてしまう。豊かに暮らしたいなら、ちゃんと価値をわかったうえで消費をしなければいけないと僕は強く思っています。 【斉藤由貴生氏】 1986年生まれ。腕時計投資家。大学在学中に親の作った7000万円の借金も腕時計投資により完済。お金を使わず贅沢することのプロフェッショナルとして「腕時計投資」を推奨している。著書に「腕時計投資のすすめ」と、新著「もう新品は買うな!」(小社刊)が発売する 【落合陽一氏】 1987年生まれ。メディアアーティスト、博士(学際情報学)、筑波大学図書館情報メディア系助教、デジタルネイチャー研究室主宰。国内外の論文賞やアートコンペ、デザイン賞など多数の受賞歴を誇る。昨年刊行した、テクノロジーとアートの未来予想図を描いた「魔法の世紀」(PLANETS)は大ヒット。「現代の魔法使い」の異名を持つ 取材・文/桜田容子 撮影/岡戸雅樹
1
2
3
4
もう新品は買うな!

もう大量消費、大量生産で無駄遣いをするのはやめよう


腕時計投資のすすめ

どうすればお金を使わずに贅沢ができるか

テキスト アフェリエイト
新Cxenseレコメンドウィジェット
おすすめ記事
おすすめ記事
Cxense媒体横断誘導枠
余白
Pianoアノニマスアンケート