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阿部寛のハリウッド共作、菅田将暉の月9など。テレビマンが本当に見たい2022年冬ドラマ

話題作ぞろいの冬ドラマを制するのは……

ミステリと言う勿れ

「ミステリと言う勿れ」HPより

 現在放送中の1月スタートの冬ドラマは、例年になく盛り上がりを見せている。累計発行部数1300万部を突破している人気コミックを原作に新婚ホヤホヤの人気俳優・菅田将暉が主演を演じる『ミステリと言う勿れ』(フジ系、月曜午後9時~)、NHK朝ドラ『おかえりモネ』の記憶も新しい清原果耶が民放ドラマで初主演を務めるラブコメディ『ファイトソング』(TBS系、火曜午後10時~)、『女王の教室』や『家政婦のミタ』などのヒット作を手掛けた脚本家・遊川和彦による松本潤主演の社会派ドラマ『となりのチカラ』(テレビ朝日系、木曜午後9時~)、名優・阿部寛が水中の捜査に特化した架空の組織に所属する捜査官を熱く演じる『DCU』(TBS系、日曜午後9時~)など挙げ出すと、枚挙にいとまがないほど。  そんな話題作ぞろいの冬ドラマの中で、ドラマ業界の関係者たちはどんな作品に注目しているのだろうか。率直な意見を集めた。

メッセージが説教臭くなく心に響く『ミステリと言う勿れ』

 まずはキー局でドラマを手掛けてきた50代の元プロデューサーで現在はコンテンツ関係の事業部に勤めるA氏に話を聞いた。 「まずは何といっても月9の『ミステリと言う勿れ』ですね。原作のオリジナリティとクオリティが非常に高い作品で、1巻発売の時点で各局がドラマや映画化の打診をしていたなかで、フジがその版権を射止めた。視聴率も平均世帯視聴率が1話13.6%、2話12.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と昨今のテレビドラマとしてはかなり高い数字をマークしていますし、SNSなどで絶賛されて見逃し配信サービス『TVer』で民放ドラマの初回最高となる350万回越え再生を記録したと聞いています。  ヒットの要因といえるのは、菅田さん演じる主人公・整の長尺セリフ。人間が抱く心理の核心や感情を揺さぶるセリフをミステリアスな雰囲気を醸し出しながら淡々と話していく姿は圧巻。ともすると説教臭くなるところではあるものの、菅田さんのしゃべるトーンやまくし立てる口調が狂気にも満ちていて引き込まれていく。原作ファンの一部から“イメージと違う”と書き込みがありましたが、ドラマとしては完璧な作りになっているかなと」  メインの役者だけではなく、脇を固める俳優陣も光っているとこのプロデューサーは絶賛する。 「脇を固める伊藤沙莉さんもこれまでの役どころとは違う男性社会に屈する不器用な新人刑事を演じていますが、彼女の演技もすごく達者。また、ポンコツ巡査役の尾上松也さんもただのダメ男ではなくて人間味あふれるキャラクターを演じており、配役もお見事。今のところ弱点の見当たらない作品で、先は早いですが映画化などのメディアミックスもあり得る名作でしょうね」 “ヒットマンガの原作モノは失敗する”という定石を覆す令和の名ドラマになりそうな一作だ。
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松潤の熱演と阿部寛のハリウッド共作
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テレビドラマとお笑い、野球をこよなく愛するアラサーライター。

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