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夏に飲むべき日本酒は濁り酒のワケ ビジネスマンのための一目おかれる酒知識

発泡する濁り酒

 濁り酒には搾りたてをそのまま瓶に詰めた生のものと、火入れをして発酵を止めたものの2種類があります。このうち夏におすすめしたいのは、生の濁り酒。なぜなら生の場合、瓶の中で発酵を続けるので二酸化炭素が生成され、グラスに注ぐとシュワシュワと発泡するからです。これはシャンパンの瓶内二次発酵とよく似ています。  じつは月の桂の濁り酒も生酒。開発当初はクール便などない時代だったので、売り先は京都市内のみ、冬だけの限定品でした。それでも生の濁り酒は、吹きこぼれたり瓶が割れたりして、そのたびにお客さんに謝りに行っていたそうです。  では、夏にオススメの濁り酒を紹介していきましょう。 ●一ノ蔵 「すず音」 すず音 濁りといっても、うっすらと白っぽいくらいです。アルコール度は5%程度。味は甘酸っぱく、お酒に弱い人でも飲みやすい。食前酒や乾杯に。「花めくすず音」という、ピンク色のロゼもあります。 ●菊盛 純米吟醸 「春一輪」 ⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1359031  霞がかかったようなうす濁りで、シュワッと微発泡しています。日本酒と同じ度数で味も甘くありませんので、「すず音」では物足りないという日本酒好きにオススメです。 ●獺祭 発泡にごり酒 「スパークリング50」  純米大吟醸しかつくらない獺祭の、発泡濁り酒。50というのは精米歩合50%のことです。日本酒臭さのないフルーティーさと、きめ細かい泡が特徴で、日本酒が苦手な人にも人気。ただし炭酸が強いので、開けるときには吹きこぼれに注意してください。 ●月の桂 「本醸造大極上中汲にごり酒」  1964年に日本酒で初めてつくられた濁り酒です。しっかりと白濁している濁り酒の中では、今でも他の追随を許さない品質です。爽やかな酸味と心地よい喉ごしの辛口。さすが「元祖米のシャンパン」です。

番外編

 「夏には生の濁り酒」と言いましたが、最後にひとつ、生ではない濁り酒を紹介します。 ●千福 「夏にごり」  アルコール度12%のサッパリした濁り酒。キンキンに冷やしてから良く振って飲んでください(生ではないので振っても大丈夫です)。まるで甘くないカルピスのような飲み心地に、グイグイ杯がすすむはず。泡は立ちませんが、これも夏にピッタリの濁り酒です。  さあ、夏はもうすぐ。真夏の太陽の下、軽やかな濁り酒でクールに乾杯しましょう! 【江口まゆみ】 神奈川県鎌倉市生まれ。早稲田大学卒業。酒紀行家。1995年より「酔っぱライター」として世界中の知られざる地酒を飲み歩き、日本国内でも日本酒・焼酎・ビール・ワイン・ウイスキーの現場を100軒以上訪ねる。酒に関する著書多数。SSI認定利き酒師、JCBA認定ビアテイスター
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ビジネスパーソンのための一目おかれる酒選び

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