更新日:2022年08月31日 00:47
デジタル

ウォークマン衝撃のデビューから約40年。自社が生み出した製品を超えるモノをつくり続けるソニーの歴史

さらなる小型・軽量化を実現したモデルが登場

 TPS-L2よりも小型・軽量化と音質の向上を目指した新商品は、1981年に満を持して発表した。それが世界中で250万台のセールスを記録し、単一モデルとしてはウォークマン史上最も売れた「WM-2」である。
WM-2

1981年生まれのウォークマンの2号機「WM-2」。発売から9か月のうちに、全世界で100万台以上のセールスを記録。同年11月にはシルバーのほか、レッドとブラックのカラーが追加された

「WM-2は、先にデザインが決まり、それに合わせてエンジニアが設計したモデルになります。WM-2発売の前年から全世界でウォークマンの名前に統一して販売を始めたので、型番が『WM』に変わりました」  こうしてウォークマンは、ソニーを代表する商品となり、「カセットケースサイズのウォークマンをつくろう」をテーマに生まれた「WM‐20」(1983年)、初めてガム型乾電池を採用し、本体重量が200gを切った「WM -101」(1985年)など、80年代だけでも続々と新商品がリリースされていった。
WM-20

TPS-L2から掲げていた目標だった、カセットケースサイズのウォークマンを達成した「WM-20」。4色のラインアップで、1983年にリリースされた

「ウォークマンとして開発したわけではありませんが、1984年には世界初のポータブルCDプレーヤー『D‐50』も発売しています。当時はLPレコードが主流でしたが、フィリップスとCDを共同開発した弊社としては、CDをいかに早く普及させるかが課題でした。そこで、既存の高価で巨大なCDプレーヤーとは一線を画す、安価でコンパクト、誰もが気軽に使えるD‐50を開発しました」
D-50

1984年に発売され、手のひらサイズのポータブルCDプレーヤーとして注目を集めた「D-50」。4万9800円という価格も普及を牽引した

 D‐50は、最初に木型で目標となるサイズを決め、そこに落とし込む流れで開発が進行。さまざまな苦労を乗り越え、CDジャケット4枚分の大きさで、本体重量約590gのサイズを実現した。 「弊社は、ウォークマンだけではなく、ヘッドホンの開発にも力を入れていました。1982年には、世界初のインナーイヤー型のヘッドホン『MDR-E252』が誕生しました。これをつくるにあたって、耳型職人と呼ばれる担当者が数多くの耳の型を取り、誰の耳にも入るような理想の形にしたそうです」
MDR-E252

小型・軽量のヘッドホンが、急激にシェアを拡大していた当時、その究極を目指して1982年に開発された「MDR-E252」。耳に軽くセットするスタイルは、画期的でオシャレだった

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現時点で最高品質のウォークマンとは?
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