「イタリア車は壊れやすい」は迷信だ!【後編】 ジュリエッタは一度乗ったらやめられない!

今回は、約30年ぶりに登場した3代目ジュリエッタの試乗記を余すことなくお伝えする予定でしたが、約7割が壊れやすい中古ドイツ車批判となっております。ドイツ車乗りのみなさん、お気を悪くなさらないでください。 単にワタクシのクルマ運がないってことです。きっとワタクシが買ったら、イタ車だって壊れるはず(担当K) ◆“イタリア車はドイツ車よりはるかに信頼性が高い”これだけの理由 【前編】はこちら⇒https://nikkan-spa.jp/138952 私の経験値から言えるのは、昔のイタリア車は確かに故障したが、’90年台半ばから急激に品質が向上、以後ほとんど故障しなくなった。しかしドイツ車は、日本の風土が肌に合わないのか、あるいは一時品質が低下したのか理由は不明だが、つまらない故障が頻発。それが収まったのはようやく2000年代半ばから。 つまり、新車ならともかく、中古車だとドイツ車はバクチ。それに比べてイタリア車は、非常に堅実な道である。 ジュリエッタ 赤 しかもイタリア車は、少々の齟齬が気にならない。私が3年前に68万円で買った中古アルファ147は、買った時からずーっと微妙にオイル漏れしているが、3か月に一度オイルを足すだけで、未だ故障ゼロで元気に走っている。愚息がボディの両側に大傷をつけたが、元の造形が美しいので、ガムテープを貼ってボロ隠ししただけで気にならなくなった。インパネの警告灯は、たまに小さな故障を告げるが、大抵は警告灯の誤作動なので気にしない。 ところがドイツ車と来たら、警告灯が点けば必ず故障しているし、凹ませたら直さないとものすごくボロく見える。実にカネ食い虫である。 ということで、今度発表されたアルファロメオのジュリエッタ。信頼性抜群のイタリアの新車だ。これ以上安全確実な選択肢はなかろう。 名前からして甘美だが、この妖艶なボディライン。暗く寒いドイツで田舎っぺが作ったクルマとはお里が違う。加えて陶酔のインテリア。まるで美術館にいるようだ。 走ると、これがまた実にイイ。エンジンは1400ccと1750ccのターボ。低い回転からステキなトルクが湧き出して、美しいボディをダンスのように前進させる。 ド庶民の諸君は、イタ車と聞いただけで「壊れるんでしょ」とほざくが、今やパーフェクトに迷信である。仮に警告灯が点いても、一度エンジンを切って再始動すれば、大抵は消えてしまう。まるで魔法だ! さすがイタリア車。ステキすぎる。一度乗ったらやめられない。 【結論】 ドイツの精密機械は、精密すぎて壊れやすかったのか? その点イタリアの工芸品は、近年は日本製やドイツ製の工作機械で作ってるので、美しさと信頼性が完璧に両立している。貧乏人諸君も認識を改めるように。 235馬力、1750ccの直噴ターボエンジン搭載の最上位グレード「クアドリ フォリオ ヴェルデ」(6速MT)。388万円。ナビをどこに付けていいかわからないが、そんなことは無問題! 170馬力、1400ccのマルチエアエンジン搭載の下位グレード「スプリント」(6速デュアルクラッチAT)。318万円。ボディと同色のパネル確かにオシャレ。スタート&ストップ機能付き。中位グレードの「コンペティツィオーネ」は358万円 MJブロンディ=文 Text by Shimizu Souichi 池之平昌信=写真 Photographs by Ikenohira Masanobu
1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中
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