更新日:2022年10月06日 00:01
お金

発売当時は不人気だったのに“買ったときより高く売れた”中古日産車は?

 腕時計投資家の斉藤由貴生です。私はすぐ好きになるほうなので、時計もクルマも1つでは飽き足らず、いくつも欲しくなってしまう癖がありました。そのため、これまでに買った腕時計とクルマは数十という数になり、かなり多くのクルマに乗った経験があります。腕時計の場合、投資という観点で買うことができるため、何本買ったとしても『プラスになって返ってくる』ということが可能ですし、値上がりしなかった場合でも「消費した額は0円」という状態に持っていくのは容易です。

腕時計投資家・斉藤由貴生氏

 なぜなら、腕時計の価値は残存価額が残りやすく、それでいて“持っているだけで発生する税金”のようなモノもありません。そのため「買って⇒使って楽しんで⇒高く売る」ということが可能なのです。  しかしクルマは違います。ほとんどのクルマは新車時がもっとも高く、時間が経つに従って評価が下がるのです。また使えば距離が伸びる。走行距離が増えるということは、価値の低下を意味します。  製造から40年程度経ったヴィンテージカーやフェラーリのように、一部には値上がりするクルマもありますが、値上がりするクルマの比率は、中古車のなかでごく僅かな特異な例だと言えるでしょう。それに対して高級腕時計の場合、値上がり事例はブランドに関係なく多々あるため、クルマとは比べ物にならないぐらい相場が“上下”しているのです。  ですからクルマの場合、「買った値段以上で売る」ということを成功させるには、かなり難易度が高いと言えるのです。また、クルマは持っているだけでかかる自動車税や保険、車検等があるため維持費が必ずかかります。一時抹消すれば、それら維持費はかかりませんが、保管場所は必要ですし、動かす状態にするためにはいずれにしてもお金がかかります。  そのため、維持費まで含めて「買って⇒使って⇒高く売る」という行為を成功させるには、かなり高い値上がり額が必要となります。例えば、11年ぐらい前まで300万円ぐらいで手に入ったポルシェ911(ナロー)は、現在1000万円以上という額まで上昇したため、その頃に買った人は700万円ぐらい儲かった可能性があります。そして、ポルシェの年間維持費を50万円とした場合、11年でかかった費用は550万円であるため、維持費を考慮しても150万円程度儲かった計算になるのです。

ポルシェでもフェラーリでもないのに中古で買って高く売れたクルマ

 ただ上記のような事例は、ポルシェとフェラーリの一部モデルぐらいにしかありません。おそらく、クルマを何台も乗り換えた経験のある方にとって、これは常識的な話だと思います。しかし、私はポルシェでもフェラーリでもない車で、「乗って⇒使って⇒高く売る」ということを成功させたことがあります。それが日産レパードJフェリーというクルマです。

レパードJフェリー

 レパードJフェリーは、1992年に日産が発表したクルマで、日本では「美しい妻と一緒です」というキャッチコピーで発売されました。V6エンジンとV8エンジンが用意され、価格も440万円程度。そのため、セドリックやグロリアより高級な位置づけでしたが、当時200万円以下で売られていたブルーバードと同じような見た目だったため、「よくわからないクルマ」という評価を受けていました。

レパードJフェリー横

 もともとレパードといえば、『あぶない刑事』でもお馴染みのスタイリッシュなクーペだったのが、いきなり丸っこい4ドアセダンになったというのは、不自然極まりない状況だったに違いないでしょう。

レパードJフェリー後ろ

 実際、小学生の頃の私は、再放送でやっていた『あぶない刑事』を見てレパードが欲しくなり、プラモデル屋さんに行ったところ、「レパードJフェリー」(青島文化教材社)しかなく、それがレパードだと言われて驚いた記憶があります。(F31レパードのプラモデルは1996年青島文化教材社から登場。それ以前はタミヤの初代レパードとJフェリーしかなかった)。

とてもきれいなエンジンルーム

 なぜそんなことになったのかというと、このレパードJフェリーというクルマは、北米のインフィニティブランド用をメインとして開発されたクルマだったからです。インフィニティといえば、当時日本でも売られていたQ45の印象が強いですが、それはベンツSクラスに対抗したFセグメントのクルマ。一方、レパードJフェリーは、ベンツEクラスに対抗したEセグメントを担うクルマだったのです。  ただし、V8エンジンモデルは日本にしか存在せず、やはり謎なクルマに違いはありません。  ですから、日本では「謎」なクルマとして、あまり売れなかったのがレパードJフェリーというクルマなのです。ちなみにアメリカ市場では一定数売れ、アメリカ映画を見ていても街中に映り込むほどポピュラーなクルマとなっています。
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新車時は不人気だったため、生産台数も少なめ
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1986年生まれ。日本初の腕時計投資家として、「腕時計投資新聞」で執筆。母方の祖父はチャコット創業者、父は医者という裕福な家庭に生まれるが幼少期に両親が離婚。中学1年生の頃より、企業のホームページ作成業務を個人で請負い収入を得る。それを元手に高級腕時計を購入。その頃、買った値段より高く売る腕時計投資を考案し、時計の売買で資金を増やしていく。高校卒業後は就職、5年間の社会人経験を経てから筑波大学情報学群情報メディア創成学類に入学。お金を使わず贅沢する「ドケチ快適」のプロ。腕時計は買った値段より高く売却、ロールスロイスは実質10万円で購入。著書に『腕時計投資のすすめ』(イカロス出版)と『もう新品は買うな!』がある

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