腕時計もクルマも好きな斉藤由貴生です。私は、現代のおかしな消費を変えるために実践を重ねながら、いろいろ研究してきました。私は30代のいわゆるバブルを全く知らない世代です。所有欲の薄い世代とは言われますが、私の場合は、むしろ価値あるものは我慢せず所有したいと考えています。そんな私の価値観を、不定期ですが披露したいと思います。
斉藤由貴生
第27回 1年乗っても10万円の利益を出したレパードJ.フェリー
現在までに、中古車を買って、売ってを繰り返し、数十台の車に乗ってきた私。その中で買った値段より高く売れたのは実はレパードJ.フェリーだけなのです。クルマは利益を出すのが難しいのですが、目指すべきは比較的高い値段で売ることです。
従来の買い方のように新車でローンを使って買い、3年5年乗った後に二束三文で売るというのはもったいない話。中古車をうまく乗り継いでいくと、頻繁な乗り換えも可能です。
レパードJ.フェリー
できるだけマイナスが少なくなるように買うためには、どのようなことをすれば良いか。一番手っ取り早いのは、利益を狙いにいくという方法です。先ほどのように、クルマは狙っても利益を簡単に出せるわけではない一方、数十万円単位のマイナスに抑えるということは可能です。利益を出すクルマを狙ったとしても実際売る時はマイナスかもしれない。ただ、その時のマイナスは普通に買うより少ないはずです。だって、もともと利益を狙いにいっていたわけですから。
では、改めて中古車の買い方を説明します。
横から見たレパードJ.フェリー
中古車といってもいくつか買い方があります。1つは街の中古車屋さんで買うということ。中古車屋さんといってもトヨタとか日産の販売店が経営しているディーラー系と普通の中古車屋さんが存在します。もう1つはオークション代行で買うという方法。オークションというのはヤフオクのことではなくて、業者オークションのほうです。業者オークションの会場はその名のとおり、一般人お断り。通常中古車店はここでクルマを仕入れるわけですから一般人に開放してしまっては中古車屋さんの商売が成り立ちません。がしかし、最近は5万円ほどの手数料を支払えば業者オークションからクルマを引っ張ってきてくれる「オークション代行」というサービスが存在します。
内装も細かいところまでとてもきれい
私がレパードJ.フェリーを買ったのは「日産ディーラー」です。利益を狙うのですから、オークション代行が一番かと思いきや、実はオークション代行にはデメリットも存在します。というのも、実車を見ることができないのです。特に古いクルマだと、どれぐらい傷んでいるのか、とか室内の匂いなどを確かめることができず、ハズレを引く可能性だってあるからです。私は以前、オークション代行を使ってユーノスコスモという車を総額30万円で購入しましたが、ユーノスコスモはロータリーエンジンという特殊なエンジンを搭載しています。これが曲者で、エンジンの程度が悪いとハンドルを切るだけでエンストしてしまうのです、AT車にもかかわらず。
そして、直すためにはエンジンのオーバーホールが必要で100万円近い修理代となります。結局30万円で買ったユーノスコスモは、オークション代行業者の人の紹介により10万円で売却となりました。たった1カ月しか乗らなかったので、1カ月で20万円の大損です。現代の中古車の常識において落とし穴のような存在がユーノスコスモです。
後席もあたり前のようにきれい
その点、ディーラー中古車はだいたい1年保証がつくので、万が一不調になったとしても無料で直してくれます。一般的な中古車屋さんのクルマもそうでしょうが、商品として販売されるクルマはそもそも早急な修理が必要なほどひどい状況なモノはないでしょう。なかには悪徳中古車屋もいるので注意が必要ですが、ディーラー系でそういうことはまずありません。しかし、ディーラー系中古車は希少とされるクルマの取り扱いが少ないというデメリットも存在。例えば、レパードJ.フェリーは総生産台数が約7000台と、ピーク時のクラウン月間販売数より少ないというクルマです。そのため、中古車情報に掲載されているのもいつも10台以下。そして、そのなかにディーラー系の中古車はほぼ存在しません。
私は、日産ディーラーで販売されているレパードJ.フェリーを発見したので、この時点で2つの希少性が存在しているわけです。しかも、そのレパードJ.フェリーの内容がまたもや希少性のかたまりでした。
走行距離9000km、V8エンジン、本革シート、ワンオーナー。特に9000kmという低走行距離は、生産されてから約20年も経っているクルマとしては超レアなわけです。そして、こういった希少性が重なったこのクルマ、すべての諸経費を含めて62万円。これが安いと思った私は、実物を見ることなく電話一本で買う決断を下します。そしてその時思ったのは、ひどくても50万円ぐらいで売却できるかも、ということでした。
V8エンジン
1986年生まれ。日本初の腕時計投資家として、
「腕時計投資新聞」で執筆。母方の祖父はチャコット創業者、父は医者という裕福な家庭に生まれるが幼少期に両親が離婚。中学1年生の頃より、企業のホームページ作成業務を個人で請負い収入を得る。それを元手に高級腕時計を購入。その頃、買った値段より高く売る腕時計投資を考案し、時計の売買で資金を増やしていく。高校卒業後は就職、5年間の社会人経験を経てから筑波大学情報学群情報メディア創成学類に入学。お金を使わず贅沢する「ドケチ快適」のプロ。腕時計は買った値段より高く売却、ロールスロイスは実質10万円で購入。著書に『
腕時計投資のすすめ』(イカロス出版)と『
もう新品は買うな!』がある
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