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クルマvs時計。男の贅沢品で10年後もお得なのは?「価値が残る買い物」の極意を教えます

 腕時計投資家の斉藤由貴生です。サラリーマンや公務員の方には夏のボーナスが支給されましたが、今年のボーナスの平均支給額は約83万円とのこと。私からすると、83万円という額はとても多いと感じますが、毎年ボーナスをもらえることが当たり前という感覚の人にとっては、「少ない」という捉え方もあるようです。  さて、今回はボーナスの季節ということもあり、贅沢品を買うことをシミュレーション。男の贅沢品といえば、腕時計とクルマですが、同じ贅沢品でもどちらが“お得”かを検証したいと思います。とはいえ、腕時計投資家が書く文章ですから、もう結論はおわかりでしょう。

クルマの事例1 メルセデス・ベンツ

 高級車の代表といえば、メルセデス・ベンツ。そのベンツのなかでも高いのがS600Lです。バブルのころには560SELというグレードだったこのクルマ。V12の600となってからは2000万円というレベルに到達しました。バブル崩壊後の90年代後半から2005年ごろまでは、一時的に1500万円前後だったこともありますが、大体2000万円という価格帯のクルマです。

W220 S600L

 さて、このS600Lを新車で買ったとして、ずっと乗り続けていたらいくらになるでしょうか?  答えは、0円です。  厳密にいうと、3リッタークラス以上のクルマは解体業者が3万円で引き取ってくれることもあるため、3万円分の価値は残りますが、本体価格1500万円に対して3万円の価値しか残らないわけですから、残存価額率は0.2%と極めて低い数値です。  もちろん、新車でS600Lを買うような人は、価値が0円になる前に新車のS600Lに乗り換えるでしょうから、1500万円が0円になるという経験をすることは現実的ではありません。  ちなみに私の家族は、S500Lを新車で買って6年5万kmで売ったのですが、その際の残存価格率を算出してみたら20.3%でした。  しかし、ここで重要なのは、売ったとしてもその後、誰かの元に渡ったS600Lはいずれ0円になってしまうということ。ワンオーナーで、毎年ディーラーで定期点検を受けていようが、10年10万kmを超えたら、その価値は0円も同然。毎年ディーラーで定期点検を受ける場合、その維持費はとてつもなく高くなることは容易に想像できますが、それだけ努力したとしても価値の低下に抗うことはできないのです。  そうなってしまう理由の一つが、オークション会場での相場です。オークション会場では、個別の事情に関係なく年式や距離でクルマの価値は決まる傾向にあります。もちろん、オークション会場を通さずに、外車を得意とする中古車店が「毎年ディーラーで整備」ということを評価して若干高い金額で買ってくれる可能性はありますが、それでも残存価格率が7%程度になるような額で買ってくれるなんてことは期待できないでしょう。

クルマの例2 初代プリウス

 一方、距離に関係なく価値が残りやすいクルマという、とても優秀なクルマもあります。その1つが、私が以前記事で紹介した初代プリウスです。私は初代プリウスを総額50万円で買い、走行距離10万km以上の状態で15万円で売却しました。

初代プリウス

 この15万円という額ですが、提示してくれたのは自動車買取店です。個人売買で売ったわけでもありません。まして、修復歴ありの車だったため、不利な条件であるにもかかわらず15万円で買い取ってくれたのです。  この場合、30%もの価値が残ったことになります。  これは私が中古で買った場合ですから、新車と比較すると残存価額率はもっと低くなり、約7%となります。ただし、約7%の価値が残るというのは、フェラーリやランボルギーニなど一部を除けば、クルマではなかなかない事例。つまり、初代プリウスはとても優秀な残存価額率だといえるでしょう。
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