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「るりちゃんに触ってみたい」――46歳のバツイチおじさんはさらに大きな邪念を抱き“もうひとりの俺”と話し合った【第41話】

翌朝、るりちゃんのノックで目が覚めた。 るり「ごっつさーん、朝ご飯食べに行きましょう」 俺「はーい。すぐに支度するー」 二人で海辺の道を散歩した後、「ビートルズカフェ」という名の海が見えるカフェに入った。 俺は卵チョーメン、るりちゃんはフルーツサラダを食べ、食後においしいコーヒーを飲んだ。

二人のお気に入りの『ビートルズカフェ』

朝食を待つるりちゃん。少し焼けたかな?

るり「ごっつさん、今日は何するんですか?」 俺「俺、この旅の連載を書かなきゃならないんだよね。アシュラムで書く暇がまったくなかったから、そろそろ書かないと」 るり「そうなんですか。じゃあ、昼間は私、一人でこの辺をうろうろしてますね」 俺「うん。晩ごはんは一緒に食べようよ」 るり「そうですね。じゃあ、晩ごはんのタイミングで待ち合わせしましょう」 俺「了解~」 それから二人は別々に過ごした。 本当は一緒にいたいけど、お仕事は休めない。 またもやこの連載に嫌気がさした。 昼間、カフェにこもってずっと連載を書いた。チャイを何杯も飲んだのでお腹がタプタプになった。 「るりちゃん、何やってるのかなー?」 気がつくと日が暮れ、辺りが真っ暗になった。 宿に戻り、隣の部屋のるりちゃんの部屋をノックした。 俺「ごはん食べに行かない?」 るり「はーい。行きましょう」 それから海沿いまで歩き、おいしそうなお店を探した。 るりちゃんの提案で海が見えるお洒落なベジタブルカレーのレストランに決めた。 俺「るりちゃん、今日何してたの?」 るり「今日、ちょっと離れたところにあるモスクに行ったんですけど、バイクでこけちゃったんです」 俺「え? バイク? こけた? どういうこと?? ケガないの?」 矢継ぎ早に質問した。 気になることがありすぎる。 るり「ケガはないです。今日、海沿い歩いてたらインド人と仲良くなって、バイクでモスクまで連れて行ってくれることになったんです。で、その途中、バイクが転倒しちゃったんです」 俺「えーー! 大丈夫ー?」 るり「道を曲がる時だったのでちょうどゆっくりと走ってたので、全然大丈夫です」 俺「ケガは?」 るり「ケガもないです。はい」 俺「良かった」 とりあえず、良かった。 本当に怪我はなさそうだ。 だが、気になるのはるりちゃんが二人乗りしたインド人だ。 ナンパされたのかなぁ? 二人乗りってことは相手にしがみついたのかなぁ? おっぱいが相手の背中に触れたのかなぁ。 そして、一番気になるのはこれ。 俺「インド人、イケメンなの?」 るり「いや、全然。優しい人でしたよ」 俺「知らない人について行くと危ないんじゃない?」 るり「大丈夫ですよー。せっかくインドに来てるからインド人とは友達になりたいし…」 俺「そうなんだ。ふーん」 少し空気が悪くなった。 クールを気取ったが、心に渦巻く嫉妬が表情や態度に出たのかもしれない。 「……やはりるりちゃんは、モテる」 出会ったばかりのたかしくんにもプロポーズされるほどのモテっぷりだ。 インドのビーチで一人散歩していると、いろんなインド人が話しかけてくるのは間違いない。 しかも、るりちゃんはとびきり可愛い。 そして優しい性格。 ほっておくのはヤバイ。 俺「でも、一応は気をつけてね」 るり「はーい」 その時突然、見知らぬ若いインド人がるりちゃんの隣の席に座った。 若いインド人「ねぇ、日本人?」 俺「そうだけど」 若いインド人「珍しい。一緒にお話ししてもいい?」 なんだこいつ。うざい。 るり「いいですよー。どうぞどうぞ」 しょうがないか。 俺「どうぞー」 若いインド人「やっぱり日本人の女の子は可愛いねー」 そういうと、そいつは俺を完全に無視してるりちゃんだけに話しかけた。 途中、わずかな時間だけ俺が話しかけると、軽く回答し、また俺を完全に無視をしてるりちゃんにだけ話し続けた。 「こいつ、たちの悪いナンパだな。しかも、カップルでいるとこに割り込んでくるなんて日本じゃ考えられない」 俺はバラカラビーチで出会ったガルシアへ恋に落ちた時の苦い経験を思い出した。 二人で良い雰囲気で食事をしている時、急に割り込んできたカルフォルニアのヒッピー野郎が、最終的にはガルシアの心をかっさらったのだ。 もうあんな目には会いたくない。 俺だって少しは成長している。 俺「るりちゃん、そろそろ遅くなったから行かない?」 るり「…そうですね」 俺「また、部屋で涼もうよ」 るり「ですね」 俺「ソーリー、フレンド。俺たちもう帰らないと」 若いインド人「オッケー。どこのホステルに泊まってるの?」 るり「えーと」 俺「(日本語で)るりちゃん答えなくていいよ」 若いインド人「ねぇ、どこ?」 俺「俺と一緒のとこに泊まってる。まぁ、このビーチのどこかだよ」 毅然とした態度を取った。 若いインド人「俺もホステル探してるからホステルの名前教えて」 それでもこいつは諦めずしつこく聞いてくる。 日本人をなめてるのかもしれない。 無性に腹が立った。 俺は彼を追い払うように席を立ち、店を出て彼が付いてこないかを確認しながら宿のほうに向かった。 俺「あいつ、少しなめてると思うだよな。これが白人だったら絶対同じことはしないと思うんだ」 るり「そうですかね。ただ、日本人とおしゃべりしたいだけだと思ったんですけど」 俺「そうかもしれないけど、少し嫌な雰囲気を感じるんだよね。ただ、そう感じるだけだけど」 るり「……」 二人の雰囲気はまた悪くなった。 その後、るりちゃんはまた部屋に涼みにきたが、その夜はすぐに部屋に帰って行った。 こうしてコバラムビーチ2日目の夜は終わった。るりちゃんの旅立ちまで、あと3日。 それから翌日も、朝は一緒にご飯を食べ、昼間、俺は連載を書き、るりちゃんは一人で行動した。 だが、夜は一緒にご飯を食べ、少しの時間だけ俺の部屋でお話しをした。 俺は相変わらず「あくまでも“ただのお友達”ですよー」のスタンスで振る舞った。 るりちゃんもまたそのスタンスを崩さなかった。 そのおかげなのか、二人は男女の関係に発展するような雰囲気ではなかった。 るり「11時30分になったから、私、お部屋に帰りますね」 俺「はーい。おやすみー」 るり「おやすみなさーい」 今日も11時30分でるりちゃんは部屋に帰った。 まるでシンデレラ姫だ。 魔法がとける時間が本物のシンデレラより30分ほど早い。 「やばいやばい。二人の関係が本当に“ただのお友達”のようになってきた」
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“ただのお友達”が『一番恋愛から遠い』
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