名刺に肩書きがてんこ盛り!流行りの「スラッシュキャリア」はアリかナシか?
―[山田ゴメス]―
皆さんは「スラッシュキャリア」という言葉をご存じだろうか?
自分のキャリアを一つの企業内の役職だけではなく、複数の職種や所属などを並列させて表示させることをこう呼ぶらしい。もうちょい平たく説明すれば、名刺の裏とかに「/(=スラッシュ)」で区切った肩書きを山ほど並べるアピールのことを指す。そんな名刺を渡してくるヒトは、僕ゴメス記者から言わせると、ぶっちゃけ“怪しいヒト”である。だが、この「なんでもかんでもキャリアにしちゃえ」的感覚が、昨今の日本でもじわじわと浸透しつつあるんだとか……?
ってなわけで、今回はスラッシュキャリア推奨派の第一人者であり、この9月に『日本テレビ・アップル・MTV・マクドナルド・ミクシィ・世界の医療団で学んだ「超」仕事術』(方丈社)という単行本を刊行したばかりの戦略PRプロデューサー・片岡英彦さんからお話を伺った!
――(片岡さんからいただいた名刺を見て)「企画家/コラムニスト/戦略PRプロデューサー/東北芸術工科大学広報部長・企画構想学科准教授……むっちゃ肩書きがいっぱい! スラッシュ付きまくりですやん!!
片岡英彦さん(以下、片岡):僕なんか、まだマシなほうですよ(笑)。もっとすごい人は、名刺の裏面すべてが肩書きで埋まっていたりしますから……。
――正直、こういった名刺をいただくと、僕とかは「なんか、面倒&胡散臭そうなヒトだなぁ…」みたいな懸念を抱いてしまうんですけど……。一方で、たしかにこの手の名刺を目の当たりにするケースも最近は増えてきている気も……。いったいどういう流れでこのスラッシュキャリアブーム(?)が起きているのでしょう?
片岡:昭和30年代の高度経済成長期からバブル期にかけて、日本の社会は終身雇用・年功序列を敷いており、会社一丸となって一つの目標へと突き進んできたわけです。しかし、バブル崩壊後、長引く不況により就職氷河期やリストラ、早期退職などの苦しい時代が続きました。こうして、企業の雇用形態は大きく崩れていった……。
もはや、多くの企業が“副業”を認め、雇用されている会社のみに忠誠を誓う必要もなくなったなか、「仕事を辞める・辞めない」で考えなくても、自分に合った働き方ができるようになりつつある――そんな時代だからこそ、このスラッシュキャリアが活きてくると思うんです。
――「名刺にその肩書きを印刷しちゃったら、その日からあなたはプロになる」みたいな発想ですかね? 僕もライターや編集者を養成する某スクールの講師をやっていたとき、「ライターになりたいなら、まず『ライター』という肩書きの入った名刺をつくりなさい」なんてことを教えていました(笑)。
片岡:それは極論ですけど(笑)、文章は一応誰でも書けるのですから、とりあえず名乗ってみるのはアリかもしれません。単に「売れているか・売れていないか」の違いだけで……。
ただ、世界的に見ると、スラッシュキャリアの人っていうのは、けっこう多かったりするんですよ。たとえば、ヨーロッパの片田舎に住んでいる帽子屋さんが店舗をかまえながら、マンション経営をしていたり、民泊宿経営と保険の代理店を両方やっていたり……。日本でも昔から自営の人は、農業をやりながら自宅ではお店を開いていたり……と、今よりもっと発想が多層的で自由だった。
――言われてみれば、芸能人でも近ごろはマルチな肩書きを持つ、多才な人が目立ってきています……。
片岡:そのとおりです。星野源さんや福山雅治さんのようにミュージシャン、役者、ラジオのパーソナリティ……ほか諸々の仕事を“兼業”している人も珍しくはない。お笑い芸人の皆さんも、作家にイラストレーターにプロボクサーに……と、いろんなモノに手を出し、しかも、それがきちんと“プロフェッショナル”として成立していて……。
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大阪府生まれ。年齢非公開。関西大学経済学部卒業後、大手画材屋勤務を経てフリーランスに。エロからファッション・学年誌・音楽&美術評論・人工衛星・AI、さらには漫画原作…まで、記名・無記名、紙・ネットを問わず、偏った幅広さを持ち味としながら、草野球をこよなく愛し、年間80試合以上に出場するライター兼コラムニスト&イラストレーターであり、「ネットニュースパトローラー(NNP)」の肩書きも併せ持つ。『「モテ」と「非モテ」の脳科学~おじさんの恋はなぜ報われないのか~』(ワニブックスPLUS新書)ほか、著書は覆面のものを含めると50冊を超える。保有資格は「HSP(ハイリー・センシテブ・パーソンズ)カウンセラー」「温泉マイスター」「合コンマスター」など
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