なぜ「熟女AV」は今もなお売れ続けているのか? アダルトビデオメーカー美人広報がその要因を分析
―[山田ゴメス]―
ここ20年、いや30年以上、AV業界で、スポーツ新聞や夕刊紙のエロコーナーで、実話系週刊誌業界で、あるいはSPA!で……「今、熟女がアツい!」なんてキャッチコピーを何度ぐらい目にしたことだろう。僕、ゴメス記者は少なく見積もっても「ほぼ毎年」目の当たりにしているような印象すら拭えない。むしろ、ブームが廃れた時期ってヤツを教えてもらいたいほど、熟女は常にアツかったりする。
なぜ、こうも熟女は安定した人気を得ることができるのか? そんな恒久的かつ本質的な謎に、大手アダルトビデオメーカーの美人広報である杉沢志乃さんとともに迫りつつ、最新の「熟女トレンド」についても聞き出した!!
――今でもアダルト業界で「熟女モノ」は人気なんですか?
杉沢:「圧倒的」と言ってよいほどの高い人気をキープし続けています。そこで、「どうして熟女モノが売れるのか?」を私なりに検証してみたところ、以下の4つの理由が判明したんです。
――ほう!
杉沢:まず1つめは「とにかくエロい」。
男性なら、年を取ってモテなくなっても、最悪風俗には行くことができますよね? でも、女性は結婚して家庭に入ってしまうと、家事・育児などで行動が制限され、浮気もできず“相手をしてくれる男性”はダンナだけとなり、セックスレスなどで性欲が溜まりに溜まってしまうのです。そんな素人熟女さんが出演するAVを見ると、ここぞとばかりに乱れまくり、若い子が演技で喘いでいる姿とはワケが違うのがわかります。
――なるほど……。目新しくはないけど、すっとハマる“理由”ではあります。AV出演は、普段「おばさん」だとか「お母さん」として日常生活を送っている女性が「オンナ」を自覚できる究極の手段ですしね?
杉沢:そのとおりです。で、2つめが「ギャップ」。
たとえば、大人しそうな女性が、いざセックスとなると、たちまち淫乱になる“別の顔”を持っていることに、男性ってエロさを感じるじゃないですか。「こんなおばさんがあんなエロいことするなんて!」というギャップも、それと同種類。また、男性は「寝取り・寝取られ願望」を持っているケースが多く、いかにも人妻な感じの熟女を主役とするAVは、「自分の妻が…」「誰かの奥さんを…」的な歪んだ嫉妬心や征服欲を刺激するのです。
――たしかに、作品中パッと見は地味な奥さんが、派手なセクシー下着なんかを身につけていたら、思わずドキッとしちゃいます。つまりがそういうことですか?
杉沢:そういうことです。そして、そういう演出には制作側も極力気を配っています。話を次に進めましょう。3つめは「美魔女の登場」。
「美魔女」とは「年齢不相応の若さを保っている女性」のことを指しますが、かつて、40代でAVに出演する女優さんは年齢相応に体型が崩れた“普通のおばさん”ばかりで、その手のAVはマニア向けのキワモノでしかありませんでした。しかし、美魔女は違います。「この年齢でこの美貌はすごい!」と従来にはなかった、まったく異種の「ギャップ」に男性は驚き、そんな新鮮なギャップをもった女性とセックスをしてみたくなるわけです。ちなみに、弊社が只今イチ押しの女優、KAORIは、元タレントの40代美魔女で、体型こそ熟し切った豊満ボディですが、そのロリータフェイスと肌のきめ細やかさが“実年齢とのギャップ”をより引き立てているようです。
――「ロリータ顔のエロボディ」は僕、大好物です! コレに一つめの「とにかくエロい」が加わったら、もう最強じゃないですか!!
杉沢:ご納得いただけて幸いです。じゃあ、最後に行きます。4つめは「視聴者の高齢化」。
これが熟女モノが廃れない最大の理由だと私はにらんでいます。昔は老いも若きもAVを買うなり借りるなりして鑑賞していたのですが、ネット環境がこここまで進歩した昨今、AVは検索さえすれば、なんぼでも無料で観放題だったりします。ただ、ネットに弱い中高年の男性は、こういった“検索作業”を億劫に感じ、いまだAVを購入してから観る人が多いみたいです。さらに、中高年の男性で「若い女性としたい願望」を持つ男性はどちらかと言えば少数派で、「若い女性はよくわからないから、やっぱりある程度の年輪を重ねた女性としたい」男性のほうが多い……といった背景から、熟女AVが相対的に売り上げを伸ばしているのではないでしょうか。
――今年55歳になる僕は、まだまだ熟女でも若い子でもオールOKですけどね。淫行条例に触れるまでの低年齢はさすがにNGだけど……(笑)。
杉沢:ゴメスさんは例外だってことをキチンと認識してください。結局、熟女モノの魅力とは「母性溢れる熟年女性が、セックスのときだけ性欲を爆発させる」ことにあります。
あと、女性の立場から考えてみても、とうに賞味期限の切れた中年になっても「アダルトビデオの世界では需要がある」という現実は紛れもなく「希望」なんです。
【山田ゴメス】
1962年大阪府生まれ。マルチライター。エロからファッション、音楽&美術評論まで幅広く精通。西紋啓詞名義でイラストレーターとしても活躍。日刊SPA!ではブログ「50にして未だ不惑に到らず!」https://nikkan-spa.jp/gomesu(PC版)も配信中。著書『クレヨンしんちゃん たのしいお仕事図鑑』(双葉社)
<取材・文/山田ゴメス>大阪府生まれ。年齢非公開。関西大学経済学部卒業後、大手画材屋勤務を経てフリーランスに。エロからファッション・学年誌・音楽&美術評論・人工衛星・AI、さらには漫画原作…まで、記名・無記名、紙・ネットを問わず、偏った幅広さを持ち味としながら、草野球をこよなく愛し、年間80試合以上に出場するライター兼コラムニスト&イラストレーターであり、「ネットニュースパトローラー(NNP)」の肩書きも併せ持つ。『「モテ」と「非モテ」の脳科学~おじさんの恋はなぜ報われないのか~』(ワニブックスPLUS新書)ほか、著書は覆面のものを含めると50冊を超える。保有資格は「HSP(ハイリー・センシテブ・パーソンズ)カウンセラー」「温泉マイスター」「合コンマスター」など 協力:株式会社 桃太郎映像出版 KAORI主演作品:『エロすぎる日本昔ばなし5 第十一話~絶倫浦島太郎と豊満すぎる乙姫KAORI~』(https://www.indies-av.co.jp/title/mksb005/)
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