選挙前に暗躍する“ネット工作員”たちの主張を聞いてみた
右派保守派標榜の人々に問うと、異口同音に「組織的なのは、左派革新派の方」だと話す。実情はどうなのか。
「確かにひとつの組織ですが、それぞれの信念の元に書き込みをしているし、指示があったとしてもそれが正当なものであれば受け入れる。これは自然なことです」
こう話すのは共産党の下部組織「日本民主青年同盟」、いわゆる「民青」の現役メンバー・X氏だ。徹底した反安倍、反自民の姿勢で知られる同団体のメンバーの多くも、ツイッターなどのSNSに積極的に書き込みを行う。X氏は“組織的”に書き込みをしている事実は認めつつ、その正当性も訴える。
「右派保守派とされる人々は、カチッとした集団ではないが、優生思想やヘイトを始めとした、あってはならないネット上の空気によって緩く団結している。こうした人たちには、何があっても対抗していかなければならず、マイノリティーである我々は団結して戦っているのです」
「マイノリティ」と自認するだけあって、保守多数派に対抗するためには「複数のSNSアカウントを運用」したり「一日に何度も投稿」することは当たり前で、ヘイトや左派革新派を揶揄するユーザーが発見されれば、全員で攻撃し潰す。
「数的弱者が戦うには限界があります。我々のやり方を“工作員的”というなら、その根拠を示してほしい。ネット上でも路上に出ても、我々は正々堂々とやっている。NHKがいう“工作員”が保守派のことなのか我々のことを指しているのかはわからないが、レッテルの貼り方としては極めて危険。考え方がバカなネット右翼そのもの」
ネット論壇、そして日々無数に投稿される様々な書き込みについて「これは××的」「これは××な傾向」と分析したがるのはテレビや新聞といった既存大メディア。ネット民、ネットネイティブからしてみれば「以前はネット言論を無視していたにも関わらず、今さら分かった顔をしてネットにすり寄ってくる」とも思えるだろう。さらに「陰謀論」めいた視点で、互いを監視し合う既存メディアとネット。この状況はいつまで続くのか?
<取材・文/山口準>新聞、週刊誌、実話誌、テレビなどで経験を積んだ記者。社会問題やニュースの裏側などをネットメディアに寄稿する。
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