フェイクニュースがあなたを狙い撃ち…ネット工作の怖い未来
フェイスブックで大量の個人情報の流出が明らかになり、アメリカだけでなく、世界が揺れている。流出した情報は、トランプ政権の誕生に寄与した選挙コンサルティング会社に渡っていたからだ。世界中で今、SNSなどネットを利用した政治工作が盛んになっている。
各国政府がネット上の情報操作を加速させているが、未来には何が待っているのか。IT問題に詳しい経営コンサルタントのクロサカタツヤ氏はこう予測する。
「政治家や選挙コンサルティング会社が、SNS上にコンテンツをばら撒いて情報操作を行うということは以前からありましたが、大規模に世論操作を試みるのはここ最近のこと。ケンブリッジ・アナリティカ(以下、CA)の問題が取り沙汰された背景には、SNSの社会における位置づけが変化してきたことが挙げられます」
まず昨今話題となっているフェイクニュースについては、「インターネット以前から存在していた」と、クロサカ氏は説く。それが、ネットの登場とともに掲示板で拡散するようになり、次の段階では、いわゆる“工作員”と呼ばれる意図を持った人々によって量産されるフェーズに入った。その後、人間が手を動かさずとも、プログラミングするだけで文章を作成・流通し続けるボットのような技術が生まれ、現在ではその情報操作の舞台がSNSに移ってきているのだという。
では今後、ネット上ではどのようなテクノロジーが情報操作に用いられるのだろうか。クロサカ氏は、ユーザーがコンテンツを読んだ際に取得されるビックデータが、人々をコントロールする技術として活用されていくと予測する。
「現在、技術的には住所や家族構成、年収、政治志向など対象のさまざまなデータが採れるようになってきています。もちろん、各国の個人情報保護法との兼ね合いもありますが、技術的には可能ということ。つまりそれは、ある種の情報やニュースを流した際、どんな読者が反応しているか、数字の根拠を取得できるのです。さらに、集められたビックデータを分析して、特定の人々を囲い込む新たなニュースを作り、配信することができるようになるでしょう」
クロサカ氏の説明を言い換えれば、ニュース閲覧者を分析して特定の政治志向を持った人々を抽出し、そのグループにさらに意図的な情報を与えることで、政治的な行動を起こさせることも可能になるというわけだ。
これまで国家や為政者は、テレビや新聞などマスメディアを使って大衆をコントロールしてきたが、今後は、ビックデータやAIを使うことで、より個人化された情報操作が行われるかもしれない。
【クロサカタツヤ氏】
株式会社・企(くわだて)代表。三菱総合研究所を経て’07年に独立。’16年より総務省情報通信政策研究所コンサルティングフェローを務める
取材・文/SPA!ネット工作取材班、写真/AFP=時事
※『週刊SPA!』4/17発売号「日米中露 エグすぎる政府のネット工作」より

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