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50歳男性の「女湯侵入事件」が発生。これを珍事件として片づけてはいけない――カリスマ男の娘・大島薫

見た目は美女でも心は男――。「カリスマ男の娘」として人気を博し、過去には男性なのに女優としてAVデビューを果たした大島薫。女性の格好をしたまま暮らす“彼”だからこそ覗ける、世の中のヘンテコな部分とは?
大島薫

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 ダイバーシティとは何なのか。  1月10日、公衆浴場の女湯に女装をして侵入したとして、札幌西署がパート従業員の50歳男性を現行犯逮捕した。  男性は身長約180cmで太っており、黒いボブカットのカツラ姿で化粧をしていたが、不自然に下半身を隠していることを不審に思った常連客が施設側に連絡した。男性は10日の午後9時ごろ、公衆浴場の女湯に侵入し、50分ほど入浴していたそうだ。  男性は調べに対し、「男湯は汚く、女湯のほうが安らぐから」と供述しているそうで、最初ボクはこのニュースをテレビで目にしたときに、『女性として扱われたいが、見た目が伴わないことによって起こってしまった悲劇』かと思ったのだが、その後アナウンサーが読み上げた原稿に「女性の裸が見たかったとも述べている」と聞き、思わずテレビに向かって「じゃあ、ダメだろ!」とツッコミを入れてしまった。  世間の人々が忘れたころに、定期的にこういう事件が起こるのだが、これをお読みの方々はいくつか覚えているものがあるだろうか?  例えば2013年4月には兵庫県宝塚市で女子高生のような女装をした男性(62)がショッピングセンターの女子トイレに侵入したとして現行犯逮捕されている。取り調べで男は、「女装しているわけだから、女子トイレを使って何が悪いのか」と主張した。  また、同年2月にも47歳公務員の男性が横浜市西区のイベント会場で、こちらも女子トイレへ侵入。男はショートパンツと黒タイツに金髪のかつらとサングラスを着けており、盗撮目的だったそうだ。  なにも事件は高齢の女装者のみが起こしているわけではない。  翌年の2014年9月には富山県高岡市内の高校に女子生徒の服装で侵入した27歳の無職の男性が逮捕されている。逮捕当時、この被疑者は靴までも女性物で統一するという徹底ぶりで、髪型も長髪であったことなどからかなりの女装ぶりだったそうだ。

「恋愛/性対象が女性」なのは、一般的な男性だけではない

 さて、話を戻して件の札幌の男性の事件に話を戻そう。ワイドショーやニュースなどですでに取り上げられて、芸能人や知識人などからさまざまなコメントが寄せられているので、この記事ではすこしテレビ的ではない踏みこんだ話をしてみよう。  このパート従業員の男性の父親が先日ワイドショーの取材に対して、自身の息子についてこのようなコメントを出した。 「息子は女性になりたがっており、普段の生活は女性そのものだった」  逮捕された男性の部屋はキャラクター物のぬいぐるみやグッズで溢れた女性的な内装だったという。ここで気になるのは、「男湯は汚く、女湯のほうが安らぐから」という最初に述べていた犯行動機だ。  ボクが最初に感じた通り、この点だけ見ればいわゆる『心は女性で、身体は男性』というタイプの人物かと思える。しかし、その後の「女性の裸が見たかった」というセリフは「じゃあ、やっぱり心も男じゃないか」と思ってしまわないだろうか。  あまり世間一般には認知されていないが、MtFのレズビアンというセクシャリティーを持つ人がいる。MtFとはMale to Female(男性から女性へ)という意味の略語で、いわゆるテレビで見るニューハーフさんなんかを想像してもらってほとんど相違ない。自分のことを女性だと思ってる生物学上男性の人のことだ。  で、そのレズビアンというのはどういうことだろうか。これはつまり、自分のことを女性だと思ったうえで、女性が恋愛対象・性対象ということになる。ちょっと理解しにくいだろうか。いわゆるLGBTというセクシャルマイノリティーの区分は、性自認と性指向がごちゃ混ぜになっていることで、より内容をわかりづらくさせている。  つまり、男が好きとか、女が好きということとは別に、「自分の性が何なのか」という点も彼らにとっては重要な問題ということだ。女性を抱くからといって心が男性とは限らないし、男性に抱かれたとしても心が女性とは限らない。
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LGBTへの寛容はどこまで許されるのか?
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