仮想通貨の“税逃れ”は難しい!? プロ投資家と税務署の果てしない戦い
昨年12月、仮想通貨に投資する人々の間に衝撃が走った。国税庁が仮想通貨による利益は「雑所得」とすると発表したからだ。確定申告の期限が目前に迫るなか、一部の投資家はあの手この手で徴税から逃れようとしている。「億り人」が考える節税&脱税スキームとは!?
仮想通貨長者たちに共通するのは軽いノリで手を出した仮想通貨への投資が大化けした結果、税金の心配をしなくてはならなくなった。わずか半年前、仮想通貨への課税について国税庁は立場を表明しておらず、投資家の間でもほとんど話題になっていなかった。
しかし、1年以上前から仮想通貨への課税を予見していた投資家もいる。これまでに仮想通貨で2億円の資産を築いたというY氏(45歳)もその一人だ。
「私は1年半前にビットコイン取引を始めましたが、それ以来、ずっとタイの取引所でトレードしています。当時、日本ではすでに仮想通貨取引所が登録制になるという噂があり、そうなると税務署に情報が筒抜けになることを予想していました。ちなみにタイは非居住者でも比較的簡単に銀行口座がつくれますし、CRS(※1)にも加盟していないのでバレずに堂々と現金化できますよ」
さらにもう一人。海外に資産を分散して管理しているという富裕層の投資家・M氏(53歳)も、最初から海外の取引所を利用しているという。
「仮想通貨はいくつか口座を持っていますが、欧米やアジアの複数の国の取引所を使ってます。含み益は出てますが、まだキャッシュアウトしていない。海外にはビットコインATMもあるし、個人間で現金と仮想通貨を交換することもできる。デビットカードを発行してくれる取引所もあるので、国内での現金化には困りません。税務署に知られようがありません」
Y氏やM氏の手口について、仮想通貨に詳しいある国際税理士は「確かに海外の業者であれば、日本の税務署に情報開示する義務はない。日本に現金を持ち込んで高額な車や家を買ったり、国内の銀行口座に入金でもしない限り、捕捉されにくい」と話す。
しかし、すでに国内取引所を通じて多額の含み益が出てしまった投資家たちの間でも、“抜け穴”となり得る方法が存在するようだ。
「仮想通貨投資家の間で、課税回避のために海外移住を試みる動きは確かにある」と明かすのは、税理士法人ファシオ・コンサルティング代表社員・八木橋泰仁氏だ。
「日本の所得税法では、海外に1年以上居住する予定で出国した人は『非居住者』となり、納税義務がなくなるんです。長期旅行などでは認められませんが、例えば1年以上、留学や就労など海外に定住する予定で出国し、その後に保有する仮想通貨を売却したとしても、その売却益は日本では課税されないことになっている。’15年7月に始まった『国外転出時課税制度(※2)』(いわゆる出国税)では、海外移住者が1億円を超える株式含み益に対して課税されることになっているが、現状では、仮想通貨は対象外となっています」
ただ、越えなければならないハードルもある。
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