若年性認知症になった人々の共通点――毎日同じような仕事の人は要注意
「あの人の名前、なんだっけ?」「昨日の晩ご飯、何を食べたっけ?」「実家の郵便番号っていくつだっけ?」……。30~40代にもなると急激に進む記憶力の低下。「あれ」「それ」といった指示語で会話する頻度が増えるたびに、「もしかしてボケが始まっているかも」と不安になる読者も多いことだろう。
菅原脳神経外科クリニックの医師、菅原道仁氏は次のように説明する。
「64歳以下で発症する認知症を『若年性認知症』と呼びます。認知症というと高齢者のイメージがありますが、64歳以下でも認知症になるケースが意外と多くあり、近年、若年性痴呆症(若年性認知症)が増加傾向にあります。また、認知症と診断されるには5つの診断基準がありますが、早期に適切な治療を行えるよう、すべてを満たさなくても『軽度認知障害』、いわば“認知症予備軍”と診断するケースも増えています」
若年性認知症になった人には、行動などの点で共通点があるだろうか。若くして認知症と診断された人の家族や関係者ら188人に、「日常生活」「食事・飲酒」「仕事」についてのアンケートを実施し、若年性認知症になりやすい共通点を探った。「あてはまる」「ややあてはまる」との回答がもっとも多かったのは、「仕事にストレスを感じていた」で、188人中140人(74.5%)だった。また、「仕事への責任感が強かった、頑張り屋だった」も72.8%と高いのが特徴。
「認知症は、さまざまな原因で起こると言われています。近年、企業で長時間労働を強いられることが増え、睡眠不足が慢性化した結果、無気力のうつ状態になり、認知機能が低下することがあります。また、仕事のストレスからお酒を飲みすぎたり、食生活の乱れからビタミンB群の摂取が足りないと認知症にもなりやすくなります。現代は、若年性認知症のリスクが高い時代ともいえます」(ブレインケアクリニックの医師、今野裕之氏)
また、「みんなに意見を合わせるタイプだった」も57.4%と、半数以上の人が回答。自分の意見は主張せず、人に合わせるストレスがたまりやすいタイプだったことが想像できる。

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