更新日:2018年06月19日 21:27
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文化系最凶? 吹奏楽部のブラック部活で「何度も倒れた」「楽器カーストも」

絶対的支配者の神顧問に神指揮者。神々の哀しき末路?

 こんな吹部にあって、絶対的な支配者として君臨しているのが顧問、そして指揮者だ。  狭い村社会のなかで強い力を持つ支配者的存在について、全国大会出場経験のある名門吹部出身の野村理沙さん(25歳・仮名)が当時を回想する。 「自分のいた吹部では、顧問や指揮者は神様みたいに扱われてましたね。粘着質なコーチングや精神論もまかり通っていたので、まるで洗脳ですよ。逆らったら干されるし、逆に気に入られるとソロパートをやらせてもらえる。まあ実際『神』みたいな指導者がいると部活が強くなるのは確かですね」  指導者に逆らったら干されるのは、アメフトも吹奏楽部も同じのようだ。 「自分の吹部には、とてもスパルタなアラサーの女性指揮者もいました。教員ではなくOGで、運動部で言えばコーチみたいな存在です。とても厳しくて怖い人でした。精神的なダメ出しもキツくて、なんども『殺してやろう』って思いましたよ」

美しいシンフォニーの裏には殺意が……

 そんな神指揮者にも、ある日審判の時が訪れる。 「自分が卒業してから吹部が弱くなって、その指揮者が責任をとらされてクビになったというウワサが回ってきました。内心『ざまあみろ』と思って笑っていたところ、ある日地元の駅前のチェーン系喫茶店でその指揮者がバイトをしてるところを発見(笑)。当時の仲間にLINEしてみんなでお店に突撃しました。バイト中の指揮者に話しかけても『人違いじゃないんですか』ってシラを切るんですけど、名札を見れば間違ってない(笑)。あんなに偉ぶっていた人が『右手で少々お待ちください』なんて丁寧語を使っているだけでおかしくて」  野村さんは集まった仲間と大爆笑したそうだ。 「でも、彼女も音大を出てすぐに吹部に雇われて、自分たちと一緒に何年間もブラック部活の毎日を過ごしていたわけで。クビになったからって、すぐに就職なんてできないですよね……。店を出てから切ない気分になりました」  吹奏楽部員たちが奏でる美しいシンフォニーが、ちょっぴり悲しく聞こえてくる。 <取材・文/串守シャモ イラスト/koya> ― 「ブラック部活」特集 ―
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