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挫折、ひきこもり、旅まわり…41歳“唄うたい”大森洋平が歌を諦めないワケ

 大森洋平、41歳。職業は“唄うたい”。19歳の若さでメジャーデビューしながらブレイクできなかった彼は28歳でフリーとなり、現在でも地道に歌い続けている。

 そんな大森洋平が第一線に返り咲くため、6年ぶりにリリースした『強烈なハッピーエンド』は’90年代、日本の街を彩ったJ-POPを彷彿とさせる仕上がりだ。Mr.Childrenのような起伏に富み耳に馴染むメロディーと歌詞を、ASKAのように骨太に歌いあげるスタイルが印象深い。

 なぜ大森洋平は今になって再起を図るのか。その影には彼が新しく手に入れた家族の存在と昔馴染みたちの支えがあった。

“歌うことが全て”の男・大森洋平。

フリーの唄うたいは肉体労働者


――19歳でデビューした大森さんですが、メジャーアーティストとしての活動は思うようにいかなかったそうですね。

大森洋平(以下、大森):自分としては会心の出来だった曲もまったくヒットしなくて、それまでの自信は完全に打ち砕かれました。絶対売れるという自信があって“浜松Japan Open’95”でもグランプリを獲りメジャーデビューしましたが、現実は厳しかった。20代のときの苦悩って、働かないで酒を飲んでても、周りの奴よりいい暮らしができたことなんです。当時の音楽業界は1998年にCDの売上がピークを迎えることからも分かるように、業界に体力があった。だからパッとしない俺でもラクできたんですよね。

――働かなくても毎月お金がもらえて都合がいいとは思いませんでしか?

大森:今だったら家族もいるから不労所得があれば嬉しいですよ(笑)。でも当時はまだ純粋だったから辛かったんです。スランプで曲が作れず仕事ができないのに、飯が食えて酒が飲める状況への罪悪感が大きかった。

 あの頃は印税も結構入ってきたんですけど、振り込まれるのは半年後。退屈している時期にドカンとくるから、何に対するお金なのか実感できなかったんですよね。精神的に落ち込んで、2年くらいひきこもりのようにもなりました。

――そんななか、事務所を出てフリーでやることに不安はありませんでしたか?

大森:もちろん不安でしたけど、歌以外にできることもなかったし、好きなことを仕事にし続けられたからよかったんですよ。むしろフリーの“唄うたい”になって健全になりました。たしかに対価は減ったけど、自分のやった仕事の分お金をもらうっていうスッキリした感じが性に合っていた、強がりではなくてね(笑)。

――フリーになってから年間約100本ものライブを全国各地でこなしているそうですね。

大森:ぶっちゃけタフな仕事です。日本中を旅して歌ってお金をいただくルーティンは完全に肉体労働者。今は移動手段や宿泊先の予約、ギャラ交渉など自分でやることも増えましたし、ライブの予約受付も自らやっています。メジャーの頃は地方に行っても、ずっと楽屋にいて現地の人とはまったく話さなかったんですよ。

――アーティスト自身がやらなくてもいいような雑務が増えて、音楽に集中できなくなりませんか?

大森:それはないですね。音楽業界の外の人とも繋がりができたし、自分の音楽を聴いてくれる人の存在も実感できて精神的に健康になりました。まあ、ベストなのはフリーで苦労しながら健全さを知った上でメジャーに所属することかな(笑)。自分でやらなくていい仕事も絶対にあるし、お客さんに見せないでいい部分もあったはず。でも今の時代のアーティストはほとんどみんなフリーみたいなものですからね。

――業界の体力が落ちた今、メジャーで活動する人も、本質的にはフリーと変わらない。

大森:そう思いますね。SNSを使って自分の生の考えや生活を発信するメジャーアーティストもたくさんいるじゃないですか。だからこそ、お客さんには音楽だけじゃなくて生き方も含めてトータルで見せなきゃいけない。

――大森さんのInstagramにはお子様がよく登場されます。家族を見せるのも意識的にやっているんでしょうか。

大森:そうですね。パートナーでありフォトグラファーのfujikoの影響です。彼女はアーティストですが、生活者としての等身大の自分を誤魔化したりしないんです。表現者はプライベートを見せてはいけないっていう美徳を昔は持ってたけど、思い出してみれば俺が憧れたジョン・レノンは生き様のすべてを見せていました。彼の音楽はもちろん、生活や思想も含めたトータルが魅力的だったんですよね。fujikoのおかげでジョンのことも思い出して、俺も等身大の自分が自然と出てくるようになりました。

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プロの仕事は熱くなりすぎず冷静に

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大森洋平ツアー情報
2018.6.15(金) 東京 下北沢 GARDEN MAP
開場/開演=18:00/19:00
チケット販売=HPメール予約受付中!
チケットぴあ e+(イープラス)
問い合わせ=セブンスインフォメーション 03-6380-6286
ローソンチケット全公演
チケット料金=全席自由:4,500円/当日5,000円(要ドリンク代)

大森洋平オフィシャルHP
http://www.yohei-ohmori.com/yoheitop.html




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