発達障害の当事者が多い会社には共通点がある
また、会社の社風や業種によっても、社内の発達障害者の割合や扱い自体が変わるという。
「PCに向かう作業が多いIT業界や、研究に没頭できる研究職にはASD傾向の人が多いです。ただ、それでも仕事内容には問題ない。発達障害の人にはコミュニケーション力は乏しくても、特定ジャンルならすごく能力を発揮する人も少なくないからです。実際に、スタートアップ企業などでは『一芸に秀でた人材ばかりを集めたら、結果的に発達障害の人ばかりになった』なんて話も聞きますから」
では、発達障害の人がそれを自覚したり周囲から指摘されたりするのはどういったきっかけなのか。
「周囲に露見するのは大きく2つのパターンがあります。ひとつ目は、新卒入社時にあまりに仕事覚えが悪くて周囲が気づくパターン。もうひとつは、管理職となり部下への指導などで今まで以上にコミュニケーションが必要な立ち場になった際に気づくパターン。そもそも発達障害の人は自覚がないことも多いので、中年まで気づかなかった人は後者だと思います」
週刊SPA!が発達障害の当事者(自覚症状がある“グレーゾーン”の人たちも含む)300人にとったアンケートでも、やはり「仕事のミスが続いたから」という人は多い(Q1)。ただ、最多は「メディアの情報で気づいた」という声だ。
「これまでの取材でも、テレビやネットで発達障害について知って専門医を訪ねる人はいました。寝坊したわけじゃないのに毎日遅刻する、仕事の納期を守れない、デリカシーのない発言で空気を壊してしまう。そう悩んでいた人が『これは発達障害ではないのか?』と気づき始めているんです」(姫野氏)
Q1「発達障害」だと気づいたきっかけは?
(複数回答可)
1 メディアの情報で「自分も?」と思った 158人
2 いくら注意しても仕事のミスが続いたから 148人
3 友達などと接していて、ずっと違和感があった 122人
4 昔から人間関係でトラブルを起こしやすい 116人
5 妻や親など家族から指摘された 37人
6 上司や同僚から指摘された 16人
7 子供の頃から発達障害だと診断されている 10人
あなたは大丈夫?「大人の発達障害」の代表的な症状
●ASD(自閉スペクトラム症)
・人を不快にさせる言葉を無意識に使ってしまう
・客観的に自分を見られず、身だしなみに無頓着
・何かに集中しすぎてほかの約束事を忘れる
・マルチタスクが苦手で、複数の仕事をこなせない
●ADHD(注意欠陥・多動性障害)
・人の話に集中できずによそ見や聞き逃しをする
・長期的な仕事が不得意で、なかなか業務を始めない
・仕事でケアレスミスや忘れ物を頻繁にする
・時間の管理が苦手で移動時間などを計算できない
●LD(学習障害)
・字の読み書きがうまくできず、転記や音読が困難
・計算がうまくできず、桁の大きい算数が解けない
【大室正志氏】
産業医。産業医実務研修センター、ジョンソン・エンド・ジョンソン統括産業医を経て現職。専門は産業医学実務。約30社の産業医業務に従事
【姫野 桂氏】
ライター。発達障害当事者を多く取材。著書『私たちは生きづらさを抱えている 発達障害当事者じゃない人に伝えたい当事者の本音』が8月発売
撮影/水野嘉之
― 大人の発達障害 ―
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『発達障害グレーゾーン』
徹底した当事者取材! 発達障害“ブーム"の裏で生まれる「グレーゾーン」に迫る
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■姫野桂氏の新刊発売記念イベントが開催!
12月20日に姫野氏の新著『発達障害グレーゾーン』の発売記念イベントが開催される。特別協力として関わった「OMgray事務局」のオム氏、株式会社LITELICOの鈴木悠平氏を招き、3人が「発達障害っぽさを抱えて生きる方法」についてトークする。
【日時】12月20日(木)19時開演(18時45分開場)
【場所】神保町「書泉グランデ」7Fイベントスペース
【参加方法】姫野桂 著「発達障害グレーゾーン」(820円・税別)を1Fでご購入いただいた方に、参加券を配布(定員50名)
【予約】電話(03-3295-0011)・メール(grande@shosen.co.jp)で予約可能
*詳しくは書泉グランデHPで(
https://www.shosen.co.jp/event/89535/)