更新日:2019年03月04日 20:13
デジタル

iPhoneがiOS12で「スマホ中毒」に対応。アプリの整理ほか、今すぐできるデジタルデトックス

~柳谷智宣の「デジタル四方山話」第4回~

 今年の秋頃に登場予定のiOS12では、子供のiPhone利用時間を制限する「ダウンタイム」という新機能が搭載されている。iPhoneの利用パターンを解析する「スクリーンタイム」機能の一種で「ゲームができるのはあと5分!」といった表示が出るようになる。GoogleもAndroid端末の利用頻度を解析する「ダッシュボード」機能と連動した、「App Timer」でアプリの利用時間を制限できるようになる。

Appleの「ダウンタイム機能」

 これは「テック中毒」の問題が大きくなってきたため、ユーザーや株主からの要望で搭載されたもの。テック中毒は、要はスマホでゲームやSNSにどっぷりはまって、社会生活に悪影響を与えること。

Googleも「App Timer機能」を発表した

 実は、これは今に始まったことではない。iPadやLINEが登場した2011年前後、ユーザーがデジタル端末をいじる時間が激増し、ある種の中毒状態になる人が増えた。筆者もiPhone 4を常用していたが、外出先でバッテリーが切れたとき、通話しかできない折り畳みのガラケーを取り出して、無意識にパカパカと開閉していたことに気がついた。そうでもしないと心が安まらなかったのだ。コレはちょっとおかしいと調べたら、同様の状況になっている人がたくさんいた。  そして「デジタルデトックス」というムーブメントが起きた。  デジタルデトックスとは、一定期間スマホなどのデジタル端末を触れないようにするというものだ。ストレスが軽減され、リフレッシュできるということで、アメリカから始まり、日本でもニュースになった。チェックイン時にスマホをフロントに預けると宿泊料が割引になるホテルなどが登場するなど、ユニークな取り組みも増えたのだが、結局広く普及することはなかった。  それから7年――。状況は悪化し続けていたようだ。

わかっちゃいるけどやめられないスマホ中毒

 総務省の調査によると、モバイルのネット利用時間は2012年が平均37.6分だったところ、2016年には61.3分と激増している。2018年1月には、WHO(世界保健機関)がネットゲームにはまる「Gaming disorder」を病気として認定した。少なくとも12か月間にわたって、家族や社会での生活に著しい障害をもたらす場合に認定される。  歩きスマホは社会問題になりかけているし、寝る前のスマホ利用で睡眠障害も報告されている。普通に考えて、使いすぎ。いいことがあるわけがない。とはいえ、わかっちゃいるけどやめられないもの。筆者も「仕事だから」という言い訳で四六時中デジタルガジェットをいじっている。

総務省情報通信政策研究所「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」より「パソコンのネット利用時間とモバイルのネット利用時間の推移」

 テック中毒の自覚がある人なら、まだ対応のしようがある。問題は「自分は大丈夫と思っている」スマホ中毒者のほうが危険だ。1日に何度もSNSに投稿したり、トイレでも食事中でも移動中でもスマホを手放せなかったり、寝ているときでもバイブレーションで起きてメッセージをチェックするといった人は要注意。人と話しているときに、スマホを操作するなら危険信号だ。  タダでさえストレスフルな現代世界で、お金を払って貴重な時間を使ってストレスを上乗せするのは馬鹿馬鹿しい。心当たりがあるなら、テック中毒からの脱却、デジタルデトックスにチャレンジしよう。なんとなく控えようと考えるだけでは、何一つ変わらないので具体的に行動することをオススメする。
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スマホ中毒脱却の第一歩はアプリの整理整頓から
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お酒を毎晩飲むため、20年前にIT・ビジネスライターとしてデビュー。酒好きが高じて、2011年に原価BARをオープン。2021年3月には、原価BAR三田本店をオープンした。新型コロナウイルス影響を補填すべく、原価BARオンライン「リカーライブラリー」をスタート。YouTubeチャンネルも開設し生き残りに挑んでいる

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