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身に覚えのないサブスクにお金を払っていないか? 悪質ネット詐欺が急増中

~柳谷智宣の「デジタル四方山話」第54回~

 近年、サブスクリプション型のウェブサービスが増えている。要は月額や年額で課金し、契約期間の間は最新サービスを使えるというものだ。筆者も、Googleに年額2500円、iCloudに月額400円、Amazonに年額4900円、パスワード管理サービス「1Password」に月額400円、あとで読むサービス「Pocket」に月額600円など大量のサービスを契約している。  しかし、この仕組みを利用し、悪意のある輩がネット詐欺を仕掛けてくることがあるので注意してほしい。最近流行しているのが、スマホを閲覧中にセキュリティ詐欺を仕掛け、アプリのダウンロードを促す手法。この方法は、AndroidだけでなくiOSでも有効なのでたちが悪い。

サブスクの仕組みを利用する悪質ネット詐欺のずるい手口とは?

 まず、Web閲覧中に強制的に別ページに飛ばされ、スマホがウイルスに感染しているとか、セキュリティに問題があるとか、情報が漏洩していると表示される。「ウィルスを削除」や「無料でチェック」のようなボタンを押すと、正規のApp StoreやGoogle Playが起動し、アプリのダウンロード画面が開く。ここで、VPNアプリをインストールさせようとしてくるのだ。

最近iPhoneでもこのようなネット詐欺ページを見かけることが増えてきた

 VPNとは「Virtual Private Network」の略で、拠点間で安全に通信するための仕組みのこと。スマホでも怪しいWi-Fiを使うときに利用すると、盗聴を防げるセキュリティツールだ。しかし、セキュリティ詐欺から誘導されたVPNアプリのほとんどには、ずるい仕掛けが施されている。  無料で試用できるのは本当なのだが、7日間後から課金がスタートするのだ。しかも、それが週ごとの課金なうえ、そこそこ高額。大手のセキュリティメーカーが提供するサービスの10倍以上の金額を取ってくるのだ。しかも機能が微妙なうえ、そもそもVPN機能を搭載しているかどうかさえかわからない。海外の調査では数割のVPNアプリはまともに動作していないという報告もある。  ただし、アプリそのものは正規の手順でアプリストアに登録されており、課金をする際にもきちんと金額は表示されている。‟注意書きや規約を読まないうっかりさん”が一定数いることを見込んでの手法なのだ。  アプリを起動し、使えないと感じて解約する人もいる。本当に解約できているならいいが、アプリを削除するだけでは契約は続行している。ここを勘違いして、延々と無駄金を払い続けている人がいる。もちろん、将来気がついても返金は難しい。  身に覚えがある人は、意図しないサブスクリプション契約がないか確認しておくことをオススメする。
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身に覚えのない課金サービスをチェックする方法
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お酒を毎晩飲むため、20年前にIT・ビジネスライターとしてデビュー。酒好きが高じて、2011年に原価BARをオープン。2021年3月には、原価BAR三田本店をオープンした。新型コロナウイルス影響を補填すべく、原価BARオンライン「リカーライブラリー」をスタート。YouTubeチャンネルも開設し生き残りに挑んでいる

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