7割は課長になれないと言われて久しい。実際、40歳以上の未役職者は60%を超え、多くの人が万年ヒラ社員の憂き目に遭わされている。そこで今回はOVER40のヒラ社員500人にアンケート。“死ぬまでヒラ”のリアルに迫った。
年収は部長の約半分で未婚4割。先行きが不安なヒラ社員の現実
35歳で出世のコースが決まると言われるなか、40歳以上でヒラ社員とはどんな人物なのか。まず、各世代の役職率(表1)を見ると、役職についていない40~44歳が約67%、45~49歳が約59%、50~54歳は約56%と、どの世代でも半数以上が“役職がない”ヒラ社員である。また、役職別の平均年収(表2)では、40~44歳の部長クラスが約963万円に対し、役職のない同年齢のヒラ社員は約534万円と、その差は約430万円。50~54歳の部長クラスと役職なしでは約520万円と、格差は拡大。
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《表1 役職率》
年齢/非役職者/全労働者数/非役職者の割合
40~44歳 89万8900人 122万2520人 67.3%
45~49歳 75万9130人 121万0660人 59.3%
50~54歳 59万2450人 109万9860人 55.8%
《表2 役職別の平均年収》
部長級
40~44歳 962万9400円
45~49歳 1034万7500円
50~54歳 1127万0900円
課長級
40~44歳 831万5000円
45~49歳 894万6300円
50~54歳 923万5300円
係長級
40~44歳 629万1800円
45~49歳 678万7100円
50~54歳 718万4300円
職長級
40~44歳 581万8700円
45~49歳 629万9900円
50~54歳 698万7200円
非役職級
40~44歳 533万9700円
45~49歳 566万7500円
50~54歳 607万7100円
※「平成29年賃金構造基本統計調査」を基に算出した役職率(表1)と平均年収(表2)。平均年収はボーナスや各種手当の特別給与を含む。万年ヒラなら良くて600万円が天井。50代前半のヒラ率は50%前後。2人に1人は負け組
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だが、理想が低いのか、「資格やスキルがなくても、いつか給料は上がる」(45歳・建築)と、現状を嘆く様子は見られない。こうしたヒラ社員の姿勢に警鐘を鳴らすのが、人事コンサルタントの西尾太氏だ。
「パフォーマンスと給与を比例させたいのが企業の本音。当然、生産性が低く、年功序列で給与だけが上がった中年ヒラ社員は頭痛の種。今後も業績が上がらないなら、リストラ予備軍の筆頭です」
社内での風当たりは強いが、「ヒラであることをどう思うか?」(Q1)との問いに、約47%が「特に何とも」と思考は完全に停止。また、「むしろよかった」(21%)、「こんなもん」(15.6%)と現状を受け入れつつも「そう言い聞かせないと前を向けない」(47歳・物流)と強がっている人も少なくない。
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《Q1 ヒラ社員であることをどう思いますか?》
こんなはずじゃなかった 12.0%
こんなもんだろうな 15.6%
特に何とも思わない 47.2%
まだまだこれからだ 4.2%
(責任や負担が軽くて)むしろよかった 21.0%
…意外と「特に何とも思わない」や「むしろよかった」の数値が高いのは、もしかして強がり?
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