更新日:2018年11月18日 17:21
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ラブホ業界は改装ラッシュ。千葉県松戸市にもラブホルネサンスの波が…/文筆家・古谷経衡

ラブホが生まれ変わる瞬間を目の当たりにした

 しかし、こんな郊外にも「ラブホルネサンス」は確実に浸潤している。「Meria」はリニューアルに当たって名前も変更した。旧名称は「ホテルリバーサイド」。  江戸川の沿いにあることから命名されたものであると思われるが、如何にも80年代臭がする無機質なビジネスホテル調の外観と、「最低限度」の内装であり、前述したとおり競合店が無い住宅街の立地であることから殿様商売的状態であった。筆者は「リバーサイド」時代、このホテルの常連であった。なぜなら自宅から該ホテルは極めて近く、銭湯代わりに2時間の休憩を頻繁に利用していたからである。  それが今年の春頃に、ついにこの「ホテルリバーサイド」にもルネサンス運動が波及し、新規リニューアルとしてオープンした。  どんな風になったのかと、威力偵察に行ったところ、正直驚いた。

驚くほど近代化された室内

手書きのウェルカムサービスも嬉しい

 外装はもとより、その内装も「ホテルリバーサイド」時代の面影はどこにもない。壁紙は脂がしみこんだ標準的な白から、全て現代風のアンニュイな木目エンボス調の落ち着いたものに変更され、以前は無造作にどーんと置かれていたテレビは新造され壁掛けに進化している。ホームセンターから買ってきたものをそのまま置いた、という感じのガラステーブルは消えて、木製のこじゃれたテーブルに変わっている。そして室内を彩る間接照明。「ホテルリバーサイド」は完全に生まれ変わっていた。  そう、まるでレシプロ機がF-35に変わるのと同じように。チハ戦車が10(ヒトマル)式戦車に変わるように。これがホテルルネサンスの実相である。そして該ホテルは、絵に描いたような代表的革新の事例のひとつであろう。  無論、昔から慣れ親しんだ旧態依然としたホテルに愛着が無いわけではない。が、筆者は経営努力により生まれ変わろうというその姿勢そのものに、堪らない愛着と美を感じる。  最も美しいもの――それは「最初から」現代的にアレンジされ、繊細なアートを取り入れた「高級」な設備と「合理的」な動線を有する建物ではない。  古いものから新しきものへと脱皮するその瞬間――蝶やセミが幼虫から羽化するがごとく、その変革の過程こそ、筆者はもっとも美しいものであると感じる。その意味でいま脱皮したばかりの「Meria」は、最も美しいラブホのひとつである。 ●ラブホテルQ&A Q 同性同士のラブホ利用は可能ですか? A 結論から言うと、「女性同士の利用=OK」「男性同士の利用=NG」が殆どの事例です。なぜこのような差別的入館規制を設けているのかは、ラブホ経営者の一存としか言い様がありません。しかし現在、日本最大のラブホ検索サイト『ハッピーホテル』(通称「ハピホテ」)から、「同性利用可(男性)」「同性利用可(女性)」のオプション検索があるので、事前にここで検索した上で入館されるのが無難でしょう。金銭的余裕と時間のある方は、「男性同士の利用不可」を謳ったラブホテルで同性同士の入店を断られた、などと言って損害賠償を求める民事訴訟に及ぶのも手かもしれません。この場合、裁判所の判決がどうなるかが注目される、世紀のラブホ裁判になります。無論オススメはしませんが。
(ふるやつねひら)1982年生まれ。作家/評論家/令和政治社会問題研究所所長。日本ペンクラブ正会員。立命館大学文学部史学科卒。20代後半からネトウヨ陣営の気鋭の論客として執筆活動を展開したが、やがて保守論壇のムラ体質や年功序列に愛想を尽かし、現在は距離を置いている。『愛国商売』(小学館)、『左翼も右翼もウソばかり』(新潮社)、『ネット右翼の終わり ヘイトスピーチはなぜ無くならないのか』(晶文社)など、著書多数
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