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ラブホは家計節約の救世主。500万円を費やした男が断言する/文筆家・古谷経衡

ラブホ

写真はイメージです

第24回 ラブホ節約術のススメ

 私が独りでラブホに泊まる=独りラブホ道を貫徹して早20年余、ラブホに費やした私財は500万円を下らないといえ、それが故に本連載を持たせていただくことに相成ったわけである。最近では本連載の読者諸兄からの反響は多岐に及び、テレビやネット番組で私の肩書が「ラブホ評論家」として紹介されたり、それに合わせてラブホ事案について様々なコメントを求められたり、また旅館業関係団体(旅館関係業界では、ラブホではなく“レジャーホテル”と呼称する)からの講演会依頼なども頂くようになった。  まさに趣味が転じて本業となす、ことに相成ったわけであるが、よく言われるのは「古谷さんは本を書いているから儲かっている訳であり、そういったラブホ趣味が続けられるんでしょうなあ」というものである。もちろんこれは嫌味ではなく誉め言葉なのであるが、実は私が永年「独りラブホ道」を貫くのは、ひいてはそれが家計節約の面も担っているからであるというのはこれまであまり公にしたことが無かった。  ラブホテルはアベックの情交の場所に過ぎない、というのは旧世代の化石化した観念であることは本連載でも繰り返し述べてきており、こと近年では「ラブホ女子会」などの普及により、ラブホ=情交という簡単な図式は形骸化しつつあり、まことに嬉しい限りである。しかしラブホ逗留はやはり一種のハレ(非日常)であるという観念はいまだに根強く、もちろんホテル側もそれを認識しているがゆえに、さまざまなハレ的なアメニティや特典を設けている訳であるが、20年余「独りラブホ」を続けている私からすると、ラブホ逗留はいたって家計節約に役立つという別視点で本稿を進めたいのである。

サービスタイムはシティホテルの2泊分

 私の様な朝寝て夕方に起きるという典型的夜型人間からすると、ラブホのサービスタイムは一般のビジネスホテル・シティホテルの2泊分に相当する時間、室を占拠しているのにも関わらず、場所にもよるが4000円から6000円という安価で滞在できるというのが、まず第一の経済的利点であることは本連載第1回から述べてきた通りである。  本稿ではこれに勝るとも劣らないラブホ利用の家計節約効果について述べる。まず第一は、化粧水と乳液代金の節約である。この国の一般的なビジネスホテルでは、「男性利用客にはスキンケアは必要が無い」という未だ封建的観念に支配されており、化粧水や乳液が常備されていない場合が多い。  この点、アベックの片方の女性宿泊を念頭に置くラブホでは、化粧水と乳液は絶対に常備されている。しかし男一人でラブホに泊まるのになぜ化粧水や乳液が居るのか?と疑問に思う諸兄がいたのならそれは中世人の発想である。  男性の美容・顔面皮膚静謐にはもはやこういった基礎化粧品は欠かせない。入浴後、急速に失われる顔面皮膚からの水分不足を放置すると、やがて顔全体の劣化に進もう。これを食い止めるためには、入浴直後のケアが必要であり、よって化粧水と乳液は必須なのである。私などは顔面鼻から下半分を全部脱毛しているからなおさらこのケアーは必要である。  しかし前掲したような「封建的」ビジネスホテルでは、こういったアメニティは常備されておらず、近隣のコンビニに買いに行くしかない。化粧水や乳液のセットは「お泊りセット」などといってコンビニ等で販売されているが、これが大体一袋400~500円である。ラブホ逗留ならこの代金がまるごと節約できる。
ラブホ アメニティ

女性客を意識したアメニティの充実も嬉しい

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ビジネスホテルはビデオ視聴が有料
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(ふるやつねひら)1982年生まれ。作家/評論家/令和政治社会問題研究所所長。日本ペンクラブ正会員。立命館大学文学部史学科卒。20代後半からネトウヨ陣営の気鋭の論客として執筆活動を展開したが、やがて保守論壇のムラ体質や年功序列に愛想を尽かし、現在は距離を置いている。『愛国商売』(小学館)、『左翼も右翼もウソばかり』(新潮社)、『ネット右翼の終わり ヘイトスピーチはなぜ無くならないのか』(晶文社)など、著書多数

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