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発達障害の傾向は仕事で武器にもなる/当事者、日本マイクロソフト元社長・成毛眞氏は語る

 いま大きな話題になっている「大人の発達障害」。SPA!で特集を組んだところ「自分もそうかもしれない」「知人が驚くほど当てはまる」と反響があった。発達障害の当事者たちは、その特性から職場でさまざまな困難に直面している。発達障害特性を持つ著名人はどのように向き合ったか?

成毛 眞

成毛 眞氏

普通の人と違うからこそ活躍できる場所がある


「これからは人と違うほうが稼げる時代」と語るのは、マイクロソフト元社長で実業家の成毛眞氏だ。発達障害の情報が出回り始めた数年前、その内容を自分の体験と照らし合わせてADHD(注意欠如・多動性障害)の傾向があることを自覚したという。

「思い返してみれば多動性や衝動性、不注意など私に当てはまることだらけ。それだけじゃなく、マイクロソフト社長時代に付き合っていたIT経営者たちはみんな疑わしい人ばかりです。
昔、ビル・ゲイツとメールのやり取りをした際『こんな仕事、うちの会社では犬でもできるよ』と、ジョークを言ったら『お前の会社は犬が働いているのか!?』と本気で驚かれたことがあります。そもそも当時のシリコンバレーのIT関係者はすごく優秀でしたが変わり者だらけで、恐らくまともな会社に就職できなかったからやむを得ず起業した側面があったんでしょう」

 成毛氏は「私の症状はまだ軽度なものだし、本当に重度の特性で苦しむ人には当てはまらないが」と前置きしたうえで、「発達障害の特性はビジネスにおいて武器にもなる」と続ける。

「ASD(自閉症スペクトラム障害)傾向の強い人だと冗談が通じない部分はありますが、ゼロから何かを作り上げる際は通常の人が思いつかないアイデアを出して業績を上げる場合があるんです。普通の人と同じやり方で仕事をして悩むより、自分の特性を理解してくれる会社に転職しちゃったほうがいいのではないかと思います」

 では、どんな会社が有望なのか。

「外資系やベンチャー企業がまず思い浮かびます。特に、できたばかりで新しい事業に切り込んでいかねばならない会社では発達障害の人がハマったときに見せる、一種の“突破力”が重宝される。転職をしたいけど学歴がないと嘆く方もいるかもしれませんが、よほどの大手を志望しなければ、学歴は関係ない時代です。私も、注意力散漫で集中して受験勉強ができず、第1志望の大学には落ちています。まずは、『自分は変わっている』ということを認めると、自分に合う仕事を見つけられるのでは」

 自分ではマイナスだと思っていた特性も、場所を変えれば活躍できる可能性が秘められている。

【成毛 眞】
自動車メーカー、アスキーなどを経て、’86年日本マイクロソフト設立と同時に参画。’91年同社代表取締役社長就任。退社後、’10年に書評サイト「HONZ」開設。著書に『発達障害は最強の武器である』(SB新書)など多数

― 大人の発達障害診断リスト ―
<取材・文/青山由佳 櫻井一樹 進藤太郎(小野プロダクション) 田中一成 山田文大 姫野 桂 撮影/水野善之 渡辺秀之>

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