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年収1000万円から、定年後は失業保険をもらうためにバイト生活。「楽しいけど不安です」

 あなたは自分が70歳まで働く姿を想像できるだろうか? 人生100年時代といわれる今、もはや悠々自適な引退生活など、遠い過去のものになったが、雇用延長も転職も無理な場合はアルバイトとして働くしかない。年下に交じって窮屈な思いをしそうだが、実際の環境はどうなのか? 老後

定年後、失業保険をもらうためアルバイトとして働くことを決意

渡部誠人さん(仮名・67歳・指導員バイト)の場合  定年まで勤務した会社を退職後、アルバイトとして働くことを選択する。渡部さんもその一人だが、理由は単純な生活苦というわけではなく「失業保険をもらうため」だったという。あまり知られてないが、実は定年退職でも一定条件を満たせば失業保険がもらえるのだ。    60~64歳で定年退職した場合は、一般の失業者と同じ扱いで、基本手当(90日~360日の給付、日数は被保険者期間や退職理由による)がもらえる。65歳以上で定年退職した場合は、高年齢求職者給付金をもらえるが、給付金は30日または50日分とだいぶ短く、一括支給となる。  いずれにせよ、失業給付をもらうには、「働く意思と能力があるのに職がない」、つまりハローワークで職探しすることが条件になる。  「ハローワークへ行くと失業保険を出す条件は次の仕事を探すことだと言われ、それから仕事を探すことにしました。自分でいろいろ探しましたが60代の求人がやはり少なくて……。なんとか職員に紹介してもらったのが、現在アルバイトしている放課後児童クラブの指導員です。勤務形態はシフト制で夕方から働き、多いときは週6日ほど勤務して、失業保険と合わせたら年収400万円くらいにはなっています」  アルバイトしてても失業保険ってもらえるの?と思うが、「週20時間未満のアルバイト」なら、「失業状態にある」とみなされて、給付が受けられるのだ。 「とはいえ、失業保険の給付は今年中には切れるので、アルバイトだけだと200万円未満です。アルバイトは一日4時間ほどですが、子供たちが長期休みのときは朝7時から夜7時まで働くこともありますね。前職は技術関係の仕事で海外を飛び回って年収1000万円ほどだったので、たしかに金額だけ見たら物足りなさを感じますが」  完全に畑違いの環境で突然働くことになり、給料も減る。しかも周りは年下の先輩ばかり。聞く限り、かなりツラい環境だと感じるが、渡部さんは前向きだ。 「子供と関わる仕事なので、毎日発見と学びがある。同僚との関係も良好です。うまく付き合うコツは、隠しごとをせず嘘をつかないこと。昔の仕事の実績は忘れて同僚にも真摯に向き合っています」
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少しずつ減っていく年金に不安
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