人生100年時代の到来とともに飛び交う「老後資金は3000万円説」。その数字を耳にするたび「絶対無理!」と頭を抱える人も少なくないはず。先日、金融庁が年金だけだと2000万円不足するとの報告書をまとめて物議にも。老後の安心のため生涯働き続けるには、どうしたら良いのだろうか?

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60歳以降の労働環境はどうなる?
生涯現役がスタンダードになれば、人生後半戦に再び“就活”が待っていることになる。そこで、どんな求人案件があるのか、高齢者の就職に詳しいジャーナリストの日向咲嗣氏に聞いた。
「ハローワークに集まる60歳以上の求人は『清掃』『警備員』『タクシー』『専門職等』の4種で過半数。これが65歳以上になると『清掃』と『警備員』が約75%となり、選り好みは無理。専門職もエンジニアが中心で、文系はかなり厳しい状況です」
正社員の求人は極端に少なく、基本はアルバイト。だが、少しでも条件のいい働き口をハローワークで見つけるには?
「まずネットから検索する場合、『宿直』『土・日出勤』など、人が嫌がる条件をあえて入れれば、高収入案件に辿り着く確率が高まります。手に職があれば“海外”ボタンも有効。途上国なら『月収40万以上』『運転手付き』などのお宝求人もあります」
ただ、前日分を深夜に一括更新するネットに比べ、窓口には新規案件を即座にチェックできる利点がある。
「朝一番で通い、同じ職員に相談するようにしてください。マンツーマンサービスは行っていませんが、足繁く通い“顔なじみ”になっておけば、自分に適した求人や優良案件を優先的に教えてくれることもあります」
とはいえ、そんな優良案件の採用は狭き門だ。
「ポイントは“愛されるシニア”になれるか。その点、過去の栄光にしがみつき、プライドを捨て切れずにいると、後々地獄を見るかもしれません」
しがみつくのではなく、若手に好かれるコミュ力を磨く。それが会社員終盤戦の課題だ。
<高齢者の就活ポイント>
・エンジニア以外は「清掃」「警備員」「タクシー」が中心
・ハローワークはネットではなく朝イチで直接行くこと
・顔なじみの職員やエージェントをつくっておくと有利
・ネット検索で海外の好待遇案件が見つかることも
【日向咲嗣氏】
ジャーナリスト。失業・転職など、高齢者の職業生活全般に精通する。著書に『58歳からのハローワーク200%活用術』(朝日新聞出版)など多数
取材・文/週刊SPA!編集部
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