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パチンコで借金300万円…生活保護で3畳一間暮らしの29歳は自立できるのか

 貧困に抗う若者たちの「再出発」に密着。家や職を求めて、貧困から抜け出そうとしている若者たちを、どのようなハードルが待ち受けているのか。再起を願う彼らに同行し、その姿を追った。
高齢者だらけの貧困街で暮らす20代の日常とは?

河合道人さん(仮名・29歳)が現在暮らす部屋の様子

高齢者だらけの貧困街で暮らす20代の日常とは?

 横浜市中区寿町。日本3大貧困街として知られるこの地は、40代以上の日雇い労働者で溢れ、道端で酒盛りをする人や道路に寝転ぶ人も見受けられるエリアだ。河合道人さん(仮名・29歳)は、20代の若さでこの土地に流れてきた。 「パチンコで300万円の借金をつくってしまい、自己破産しました。派遣バイトはしていたのですが、返済などでほぼ無一文。無料で泊まれる生活困窮者の自立支援施設に3か月滞在し、そこからはこの3畳一間の簡易宿泊所で暮らしながら生活保護を受けています。今は週6でギャンブル依存症を治すクリニックに通う毎日です」  月額13万円ほどの保護費からは宿泊代金が差し引かれ、残った額が生活費となる。ただし、ギャンブル依存症の河合さんは、その受給費を自由に使えない。 「使い込み防止のため、一日1000円分の生活費を週払いで支給されています。ですが、クリニックに通い始めて2日目にパチンコに行ってしまい……。入店してから30分で全財産を失いました」
高齢者だらけの貧困街で暮らす20代の日常とは?

服など最低限の持ち物だけを所持している

 そこから数日はクリニックで支給される1日1食でしのぐ生活に。あまりの空腹で、「部屋から徒歩1時間ほどにあるスーパーまでカップ麺が当たるくじを引きに行ったこともあった」という。実家に帰るという選択肢はなかったのか? 「父もギャンブル依存症で、僕が小さい頃に蒸発している。それからは母子家庭なので、こんな状態の僕が帰ってもお荷物になってしまうな、と。それに実家には猫が13匹いるんです。僕は猫アレルギーだし、服やバスタオルまで毛だらけになる生活が嫌で……」  周りの住人からはいぶかしむ目で見られ、部屋にはゴキブリが大量発生している。それでも「最近はこの生活に慣れてきた」と話す。 「以前の自立支援施設は6人部屋だったのでシモの処理すら大変で……。そこに比べればまだマシ。ただ、貧困生活に慣れても身なりだけはキレイにしていようと思っています。服は何着か着回すし、ヘアワックスも少しずつ使ったりして。今は自分の現状を正直に書き記すブログが一番の気晴らしですね」
高齢者だらけの貧困街で暮らす20代の日常とは?

洗濯とシャワーは宿泊所内の施設で。有料につき一回数百円かかる

 時折、酔っぱらった住人の奇声が聞こえる簡易宿泊所の一角で、今日も彼は自立までの日々をブログに上げ続けている。 ― [若者の貧困]どん底ルポ ―
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