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前澤氏はZOZOの経営に失敗したのか?見落とされる3つの誤解

2)ZOZOSUITの本当の目的が伝わらなかった

 ファッション通販サイトの運営で収益をあげていたZOZOですが、ここ数年は自社でつくるプライベートブランド(PB)への参入に力を入れていました。そのPBの本来の目的が達成されなかったことも、売却を決めた要因だと考えられます。  その根拠を示す、ZOZOのPL(損益計算書)を見ていきましょう。  2019年3月期の業績は、売上高2割増の1184億円でしたが、営業利益は2割減の256億円となっています。特に、営業利益率は48%(2015年)から21%まで低下しています。  この営業利益率の低下の背景にあるのは、販管費の増加。販管費の具体的中身は明らかです。それが「荷造(にづくり)運賃」。  これは何かというと、決算報告資料によると「配送運賃の変更」と「ZOZOSUITの大量配布」があげられています。この「荷造運賃」が販管費を増やし、利益を圧迫していたのです。しかし、そこまでして同社はなぜZOZOスーツを配布したかったのでしょうか?  ZOZOは、「あなたの身体を瞬時に採寸することのできるボディースーツ」と銘打ち、伸縮センサー内蔵のZOZOSUITを無料配布することを発表していました。これは、フリーミアムモデル戦略を取りたかったからです。 「フリーミアムモデル」とは、無料サービスで大勢の人を集めて、その一部の人に有料サービスを利用してもらうことで利益を上げるフリー戦略のビジネスモデルです。つまりZOZOSUITを無料で配ることで、消費者に自社のPB商品を買ってほしかったのです。  しかし、ZOZOSUITは体型データを計測する側面にばかり焦点が当たってしまい、PB商品の売上に大きく結びつきませんでした。販管費がかさんだZOZOSUITは、2018年の10月31日には将来的になくしていくことを明らかにしています。こうした「世間の反応」はZOZOが当初描いていた戦略から軌道修正を迫られることになったのです。
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借金して自社株買いは…ヤバい?
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