砂川はそれまで隠していた本音を幼馴染の剛田に打ち明けた。それは砂川が「彼にならなんでも話せる」と思えていたからに他ならない。砂川の話を聞いたは剛田は「そう思ってるのはお前だけだ。姉さんも母さんも父さんも思ってない。俺も思ってない」と言葉をかける。そして、「スナ（砂川）は言わなかったんじゃなくて、言えなかったのかもしれない」と胸中で呟く。 　このシーンを見ながら、私は「今の仕事を選んでよかった」と再認識できた。心を揺さぶる体験は原風景となって、自分の背中を押してくれる。そして、その原風景は現実のものとは限らない。映画や小説といったフィクションの場合もある。それが今回、私の場合は『俺物語!!』という少女漫画だったのだ。 『俺物語!!』は剛田と大和を中心に展開するラブコメディだ。この作品を視聴し始めた時、私に「仕事の糧にしよう」と考えがあるはずもなく、ただ息抜きとして見ていただけだった。しかし、実際は自分の仕事にさらなる自信を持つきっかけになってくれた。このように心を揺さぶられる瞬間はいつやってくるかわからない。 　もし普段生活している時に、心を揺さぶられる体験をしたら、ただの偶然と考えずに、ぜひそれを大切にしてほしい。何かに心を揺さぶられるのは、自分に似たような体験があるからだ。そして、その体験があなたの人生に大きな影響を与えている。その体験を特定できれば、今よりも自分の人生を理解し、コントロールできるようになるだろう。 コーチャー。自己啓発とビジネスを結びつける階層性コーチングを提唱。カイロプラクティック治療院のオーナー、中古車販売店の専務、障害者スポーツ「ボッチャ」の事務局長、心臓外科の部長など、さまざまな業種にクライアントを持つ。現在はコーチング業の傍ら、オンラインサロンを運営中。ブログ「星を辿る」。著書『人生を変えるマインドレコーディング』（扶桑社）が発売中