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「ビルゲイツのような金持ちになりたい」では願いは叶わない

いまの仕事楽しい?……ビジネスだけで成功しても不満が残る。自己啓発を延々と学ぶだけでは現実が変わらない。自分も満足して他人にも喜ばれる仕事をつくる「魂が燃えるメモ」とは何か? そのヒントをつづる連載第133回 人間関係 自己啓発には「願いを強く持てば叶う」という精神論がある。自分の望みを何度も唱えるアファメーションや、自分が欲しい物の写真でコラージュを作るビジョンボードはその典型だ。  しかし、そうした願望実現は自己啓発の中でも、因果関係の証明が難しくオカルト色が強い。個人的な経験からそうしたものも無意味だとは思わないが、あえて誰かにアドバイスしようとは思わない。それよりも確かなやり方があるからだ。  そのやり方とは、自分の願いを叶う内容に改める「願望修正」だ。たとえば人生相談をしていると、「普通に生きられるようになればいい」という人がいる。そして、この普通に対するイメージをヒアリングしていくと、「経済的に安定して、人間関係で波風が立たない」というニュアンスだということがわかる。  経済的安定が難しい場合ももちろんあるが、人間関係で波風が立たないのはそれ以上に難しい。人間は親と子、教師と生徒、お店とお客といった関係において互いに異なる要求を持っており、対立するのが基本だからだ。  人間関係で波風を立たないようにするには、対立する以前に自分と相手の要求を把握して、問題が大きくなる前にその芽を摘むしかない。そんなことができるのはよほど器の大きい聖人君子だけだ。  ここまで説明すると、「普通」と言いながら、実はそのニュアンスが肥大化していたことに気づいてもらえる。そして、自分が望んでいる「普通」がどんなものなのかを考えるようになる。自分の願望を、自分の本意に合わせたものに改められるようになるのだ。  これは他の願望でも同じことが言える。若い頃は「ビルゲイツのような大金持ちになりたい」といった願望を抱くことがある。フォーブスのリアルタイムビリオネアランキングによると、ビルゲイツの現在の資産は11.2兆円だ。「ビルゲイツのような大金持ちになりたい」と考えている人でも、「どうして11.2兆円が必要なのか」と問われたら、大抵は「そこまでは必要ない」と答えるだろう。そうした願望には修正が必要だ。  願望の内容はなんでもかまわない。「普通」でも「お金持ち」でも「成功」でもいい。しかし、その「普通」や「お金持ち」や「成功」という言葉に結びつけているイメージを自分が本当に望んでいるのか。そのために「努力」や「時間」といった対価を払うつもりがあるのかを確認する必要がある。それが自分のことを知るためにある「自己啓発」の本質だ。
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「叶えばいいな」では願望は叶わない
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