G1ジャパンカップは伝説の騎手、デットーリが“神の高配当”を演出!?
今週末、東京競馬場ではジャパンカップが開催される。世界の強豪が東京芝2400mで激突する——はずだったのだが、今年のジャパンカップはなんと海外勢の参戦はゼロ。史上初の日本馬だけ、文字通りのジャパンカップになってしまった。
デットーリ騎手の何が凄いのか。それはもちろんこれまでのキャリアで積み重ねたG1タイトルが200以上だとかの話をすれば十分伝わるのだろうが、そこには収まらない圧倒的な存在感がある。
例えば、同騎手を語るのに欠かせないエピソードがある。’00年に起こった小型飛行機の墜落事故だ。当時移動のために搭乗していたプロペラ機が墜落、操縦士は即死だったと言われているが、デットーリ騎手は奇跡的に九死に一生を得て、それどこらか、僅か2か月あまりで復帰してレースの騎乗を再開しているのだ。
また’02年には、ジャパンカップおよびジャパンカップダート(当時)の騎乗で来日。土曜日にジャパンカップダートを6番人気のイーグルカフェで制すると、翌日のジャパンカップを9番人気のファルブラヴで制覇、いとも簡単に2日連続G1制覇の偉業を成し遂げてしまった。
ちなみに、今週末行われるジャパンカップは前述のファルブラヴを含めこれまで3勝しているが、すべてがハナ差。大接戦をことごとく制するのは、まさに競馬の神様に愛された男と言わざるを得ない。野球でいえば王貞治と長嶋茂雄を足して、2で割らずにそのままにしたくらいの圧倒的な存在なのである。
そんなデットーリ騎手も現在48歳。もしかすると既にキャリアは下降線を辿っているのでは、と疑念を持たれるかもしれない。だが、’19年のデットーリ騎手はむしろキャリアハイともいえる活躍を見せているのだ。
エネイブルと挑んだ凱旋門賞では3連覇を惜しくも逃したものの、同馬とのコンビでは今年だけでG1を3勝する活躍。また、プリンスオブウェールズSではクリスタルオーシャンに騎乗し日本馬のディアドラを下し勝利している。さらにイギリス伝統のロイヤルアスコット開催では4連勝の離れ業を演じた。
そして、デットーリ騎手の価値をさらに高めているのが、ドラクエでいえばはぐれメタルのようなレア感だ。これだけ世界で活躍している同騎手だが、来日経験はそれほど多くない上に、今回も騎乗停止などで直前に来日が微妙な情勢となっていた。結果的には2週間遅れでの来日となったが、今回は’11年のダービーデー以来、実に約8年半ぶり。次回の来日もいつになるかはわからないという。
もっとも、ガッカリするのはまだ早い。海外“馬”の参戦こそないものの、それを補って余りあるほど豪華な、海外“騎手”が参戦するのだ。お馴染みのルメールとデムーロ以外にも、以下の5人が今回短期免許で来日し、ジャパンカップに騎乗する。
<ジャパンカップに騎乗する海外からの短期免許騎手>
ムーア(騎乗馬:15ジナンボー)
スミヨン(騎乗馬:11シュヴァルグラン)
マーフィー(騎乗馬:5スワーヴリチャード)
デットーリ(騎乗馬:9ルックトゥワイス)
ビュイック(騎乗馬:8レイデオロ)
この5人がいかに豪華かというと、国際競馬統括機関連盟(IFHA)が毎年11月下旬に発表するロンジンワールドベストジョッキーでは、1~4位がデットーリ、マーフィー、ムーア、ビュイックだった…といえばその凄さが伝わるだろうか。サッカーでいえばメッシやC・ロナウドが同時に来日するようなものである。そして、このいずれ劣らぬ名手の中でも特に注目したいのが、イタリア生まれのランフランコ・デットーリ騎手、通称・フランキーだ。
飛行機事故からの生還、2日連続G1制覇など数々の伝説
48歳にしてキャリアハイ級の大活躍
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競馬予想ブログとしては屈指の人気を誇る『TAROの競馬』を主宰する気鋭の競馬予想家。12月5日に最新刊『馬券力の正体 収支の8割は予想力以外で決まる』(オーパーツ・パブリッシング)が発売になった。著書は他に『競馬記者では絶対に書けない騎手の取扱説明書』(ガイドワークス)、『回収率を上げる競馬脳の作り方』『回収率が飛躍的に上がる3つの馬券メソッド』(扶桑社)が発売中。
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