人気馬が実力を発揮しやすいジャパンカップ
弱点が見当たらない世界最強馬イクイノックス
写真/橋本健
今週は待ちに待った
ジャパンカップ。世界最強馬
イクイノックスと三冠牝馬
リバティアイランドがともに参戦する事もあって、注目度は2023年のG1の中で最も高いのではないでしょうか。筆者もリバティアイランドが参戦すると報道があってからは、この日を楽しみに待っていました。
2強についての評価も気になるところですが、まずはジャパンカップの傾向について解説していきます。
2013年以降のジャパンカップの平均ラップは以下の通りです。
・2013年以降のジャパンカップの平均ラップ
12.9-11.2-12.3-12.2-12.0-12.2-12.2-12.0-11.9-11.6-11.7-12.0
平均値では上がり1ハロン12.0秒とやや時計を要する形となっていますが、これは重馬場で行われた2019年が影響しています。基本的には直線の長い東京競馬場らしくトップスピード勝負になり、勝ち馬10頭中8頭が上がり1~3位を記録しているように決め手のある馬が有利な傾向にあります。上がり6位以下で勝利したのは
ジェンティルドンナと
キタサンブラックだけで、超G1級以外は厳しいといえるでしょう。
そして、このようにスピード勝負になると基本的に人気馬が有利になり、過去10年で1番人気が5勝をあげています。また、勝ち馬全頭が5番人気内で、6番人気以下から馬券内に好走した馬は5頭しかいません。2017年以降は6番人気以下が1頭も馬券内に絡んでおらず、国内最高賞金を誇るレースだけに上位人気馬がしっかり仕上げてきて崩れないレースとなります。
人気馬が強いという傾向からも、2強がともに実力を発揮する可能性は極めて高いと考えられます。では、続いて2強のそれぞれの特徴を見ていきましょう。
現時点でもロンジンワールドベストレースホースランキングにおいてレーティング1位の座に君臨している
イクイノックス。名実ともに世界最強馬となる同馬ですが、最大の特徴は
「弱点がないこと」だと考えています。
2~3歳時から上がり3ハロン32秒台を記録しており、トップスピードには優れた点を示していました。しかし3歳秋以降はさらにそれ以外の能力にも磨きがかかっており、昨年の有馬記念では自身の上がり3ハロンが35.4秒となったようにタフな競馬でも完勝。そして極めつけは前走の天皇賞(秋)で、レースの1000m通過タイムが57.7秒の超ハイペースを3番手で追走し、直線では持ったまま抜け出して2馬身半差の完勝でした。
2~3着には後方に待機していた
ジャスティンパレスと
プログノーシスが入線しており、逃げた
ジャックドールをはじめ前で競馬を進めていた馬達が総じて下位に沈んでいることからも、いかにイクイノックスのパフォーマンスが優れていたかが理解できます(ちなみに、2番手から5着の
ガイアフォースもかなり強い競馬で次走が楽しみな一頭です)。
また、その
天皇賞(秋)や
ドバイシーマクラシックのように、2~3歳時は後方からしか競馬が出来なかったタイプが近走は前で競馬しており、追走力に磨きがかかった今はどの位置からでも競馬ができるというのも最大の強み。まさに隙が無く、どのような条件・展開でも対応可能です。